研究実績の概要 |
1) 我が国では、面的防護による津波防災施設計画・設計を低コストで実行できる技術開発が要求されており、海岸林や構造物による低減効果や洗堀を考慮出来る津波の浸水数値モデルを開発した[土木学会論文集B2(2009)等を参照]。その後、津波による洗堀予測で、検証シミュレーションから決めていた漂砂量係数を、底質の中央粒径、均等係数、乾燥密度を指標に算定図から簡単に推定できる方法を提案し、岩沼海岸の浸水・洗掘再現に適用した[ISOPE2018,土木学会論文集B2(2018)を参照]。さらに、2019年度は、実験データを追加して算定図の適用範囲を広げ、浜松海岸に適用した[ISOPE2019,土木学会論文集B2(2019)を参照]。そして、“http://www.ev.u-tokai.ac.jp/yamamoto/index.htm”に、用いた数値モデルの解説書、プログラムと入力データを公開中である。
2) 極浅海域の堤防や護岸では、高波によって前面洗掘と裏込め材の吸出しが生じ、これらによる堤体内の空洞化から破壊に至る場合が非常に多い。それゆえ、越波量と吸出しによる堤体破壊の判定図、入射波高・前面水深・底質粒径から最大前面洗堀深を求められる算定図、外力・前面水深・堤体断面・裏込め材の各諸元による吸出し量算定式を提案した[土木学会論文集B2(2009,2015,2016)等を参照]。その後、二次元CADMAS-SURFを改良して、任意断面形状の堤防・護岸に対する吸出し量と堤体内の空洞の経時変化を、精度良く予測できる数値モデルを開発し、その再現性を複数の被災事例に対して確認した[ICEAST2018, ISOPE2019, J. of JSCE(2019), J. of MSE(2019)を参照]。さらに、2017年開発着手の三次元数値モデルによる再現計算結果を今年中に発表予定である。
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