研究課題/領域番号 |
18K04669
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
藤本 将光 立命館大学, 理工学部, 准教授 (60511508)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 大規模地震 / 降雨浸透特性 / 豪雨 / 斜面崩壊 / 地盤強度 |
研究実績の概要 |
2016年の熊本地震では地盤に多くの亀裂が発生したことが報告されているが,現地の地盤の亀裂の内部構造,強度低下などの劣化の状況を詳細に把握するのは困難である。また,地震の地盤強度への影響期間を評価するために,劣化の長期的な時間的変化を明らかにする必要がある。さらに,地震後の現在では,地震による地盤の劣化に伴う降雨浸透特性の変化は実証的に把握することは不可能である。そのため,室内実験において模型土槽を作成し,人工的に加振,降雨を与えることで地震後の降雨による斜面崩壊現象を再現することで,実験的検討を行い,斜面崩壊発生機構の解明を行う。土槽モデル実験を行い,加振によって模型盛土に異なる大きさのクラックを発生させ,その後,散水実験を実施した。その結果,クラックが大きい場合に加振後の雨水の浸透性が高くなる傾向があることを示した。これらの研究は,地震によって発生したクラックが降雨時の土層内への浸透性を高めることで斜面不安定化の要因となることを示唆している。加振実験において,クラックの内部構造を計測するため,複数の手法を試みた。しかし,加振実験によって発生したクラックは表面の形状は把握できるものの,クラックの深さなどの土層内部の構造的な変化を評価することは困難である点が課題として明らかとなった。そのため,人工的にクラックを作成し,加振後のクラックを模擬することでクラックの影響を明確化することを試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究においては,加振実験によって発生したクラックは表面の形状とそれに起因する降雨浸透特性の変化が把握できることが示され,地震後の降雨による斜面崩壊の減少の解明に向けた成果が出ていると考えられる。しかし,クラックの深さなどの土層内部の構造的な変化を評価することを試みたが,その計測は困難である点が課題として明らかとなった。当初の計画に加えて,内部構造の変化のみならず地盤強度の変化を評価することでメカニズムの解明が達成されると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
地震後の降雨による斜面崩壊発生機構を解明し,地震後の地盤の劣化を組み込んだ雨水浸透・斜面安定解析モデルを構築する。また,大地震後の降雨による斜面崩壊発生の予測,危険度評価基準の策定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用額が生じた理由は野外観測,および室内実験の計画が遅れたため,当初予定していた物品購入ができなかったためである。
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