研究課題/領域番号 |
18K04673
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研究機関 | 函館工業高等専門学校 |
研究代表者 |
平沢 秀之 函館工業高等専門学校, 社会基盤工学科, 教授 (90238353)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 木橋 / 応急橋 / 緊急仮設 / 折り畳み / ハウトラス |
研究実績の概要 |
災害時の応急橋として、折り畳んで運搬し現地で展開する木製ハウトラス緊急仮設橋を開発する。架設時間が従来より大幅に短縮でき、短時間のうちに通行可能にできるため、災害時の人命救助や物資輸送に役立てることができる。 令和元年度は、一端固定・他端自由の支持条件による橋梁の展開が困難であることが判明したため、橋梁本体を架設台で支持しながら展開する方法に改良した。実験供試体を用いた屋外架設実験を行い、本方式で折り畳み-展開動作の再現、架設作業性、架設時間に関して実証した。実際の災害時を想定し、橋梁本体・資材等のトラックへの積み込み、運搬を函館高専構内で行った。災害現場、架設ヤードも函館高専のグランドに設定し、手作業による展開・ボルト締め・補強材取り付け及びクレーン一括架設を試みた。 この実証実験の結果、作業人数は6名、作業時間は90分ほどで供用開始できることが判明した。この結果から、折り畳み-展開構造が橋の急速施工には極めて有効であり、災害時の緊急仮設橋として適していることが示された。一方、架設ヤードでの作業において、下横構の取り付けに多くの時間がかかっており、取り付け方法の改善により更なる時間短縮が図れる可能性が残された。今後、実用に向けた検討を行っていく。 ハウトラス構造としての性能を確認するため、静的載荷実験も行った。荷重載荷は、供試体が大きいため油圧載荷装置に入れることとができず、重りを載荷させて実施した。たわみと応力を測定し、FEM構造解析の結果とほぼ一致することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は、折り畳み-展開時の支持方法の改良案の検討、木製架設台の設計・製作、下横構の設計・製作、架設計画の立案、トラック、クレーンを使用した運搬・架設の実証実験を積雪時を除く期間内に順調に実施することができた。更に、静的載荷実験を行い、たわみと応力の計測した。FEMによる数値解析との比較から、トラス構造としての構造性能を確認することができた。一方、課題点も判明したが、解決の目途もたっており、研究遂行を妨げるほどのものではない。よって、「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、実物大スケールの木製ハウトラス緊急仮設橋の製作に着手する。木材、鋼材、その他資材の一部は業者から納品されており、穴あけ等の加工を函館高専内の設備を使用して行う。実物大では、折り畳んだとしても、実験室には入らない大きさとなる。よって、ハウトラスの1格間を1パネルとしてパネルごとに製作し、屋外で連結作業を行う予定である。トラスパネルの製作と並行して架設台の製作にも着手する。屋外架設実験の手順は以下の通りである。 (1)構内の水平な地面に架設台を設置。(2)架設台上にトラスパネルを人力で運搬。(3)トラスパネル同士及び横つなぎ材を蝶番でボルト接合。(4)架設台上で折り畳み-展開の動作確認。(5)展開状態にして、補強鋼板をボルト接合。(6)上横構・下横構を設置。(7)床版を設置(橋梁本体の完成)。(8)クレーン一括架設により、橋梁本体設置。
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次年度使用額が生じた理由 |
第70回日本木材学会大会へ出席予定だったが、コロナの影響により出張を中止したため。使用計画は、令和2年度に製作する木製橋梁の資材(ボルトなど)の費用とする予定である。
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