研究課題
本研究の課題は主に金属の水素吸蔵特性評価を広範な外部パラメータの環境で可能にすることである。更に、水素吸蔵によってもたらされる金属の物性変化を実験的に探究することが目的である。これらを実現する為、水晶振動子を用いた評価法に着目した。これにより微量の試料に対しても好感度かつ定量的に水素吸蔵量を決定でき、加えてそのコンパクトさから様々な測定環境下において他の物性測定手段と同時測定が期待できる。最終年度では特にパラジウムにおける水素誘起物性に関する実験的研究が進み、現在、成果公表を急いている。具体的には室温から120Kまでの広範な温度環境のもとで水素吸蔵特性評価を実施し、同時測定した磁化測定から物性を評価した。これにより水素吸蔵過程における熱力学的諸量の評価、吸蔵の律速段階に関する議論と活性化エネルギーの見積り、更には磁性の変化と電子状態に関する議論の展開が可能となった。電子状態は極低温で示す超伝導状態と密接に関連しており、高水素濃度吸蔵試料の極低温0.5Kまでの磁性評価をin situで行うことで、パラジウム水素系が示す超伝導特性の水素濃度依存性に関する詳細を明らかにすることに成功した。また、前年度に整備した水晶振動子測定環境、専用ガスハンドリングシステム、データロガーシステムを駆使して、様々な試料マウント法の検討を経て定量的な評価が可能なレベルまで到達し、現在、成果公表に向けてデータの蓄積を行っている。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 3件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件)
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