研究課題/領域番号 |
18K04691
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
佐藤 和好 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (40437299)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 固体酸化物燃料電池 / ナノコンポジット / 空気極 / 酸素還元反応 |
研究実績の概要 |
2020年度は、LSM/YSZナノコンポジットカソードにおける、YSZの組成(Y2O3ドーピング量)がORR活性に及ぼす影響を評価した。Y2O3のドーピング量が0~12mol%のYSZナノ結晶ゾルを水熱反応により合成し、これまでに開発を進めてきたYSZゾルを用いたLSM/YSZナノコンポジット粒子の合成プロセスを最適化することにより、微細構造に差異がほとんどなく、YSZの組成のみが異なるナノコンポジットカソードの作製に成功した。また、いずれのカソードにおいても、La2Zr2O7やSrZrO3といった高抵抗層の生成は認められなかった。これら高抵抗層の生成が抑制された原因として、LSM前駆体中の元素分布が均一であったことが考えられる。また、ナノコンポジットの高い焼結活性により、カソード/電解質界面の接合が1100℃程度の比較的低温で達成できたことも、抵抗層生成抑制の一因と考えられる。 交流インピーダンス法により、本カソードのORR活性を評価した。800℃におけるORR活性はYSZの組成、即ちイオン伝導率に依存するのに対し、650℃では、ほとんど依存しないことから、800℃では、反応場が3次元に広がっているのに対し、650℃では、カソード/電解質の2次元界面の反応場のみがORRに寄与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究ではLSM/YSZ構造カソードにおける構造-機能相関の解明を目的とし、2019年度の検討では、LSMとYSZとの混合比がORR活性に及ぼす影響を明らかにしており、2020年度はナノコンポジットカソードにおける、酸素イオン伝導体のイオン伝導率の効果を明らかにした。しかしながら、コロナ禍の影響で、実験時間が著しく制限されたことから、酸素分圧の依存性やLSMの組成の影響については検討できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
得られたLSM/YSZナノ構造カソードを用いて、酸素還元活性の酸素分圧依存性について評価を行い、酸素還元活性の微構造依存性をより詳細に評価する。また、LSMの組成がORR活性に及ぼす影響についても評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、実験時間が著しく制限され、思った通りの実験が実施できなかったため、2021年度への予算の繰り越しを行った。2021年度は、繰り越した予算を使用し、2020年度に実施できなかった研究を実施する予定である。
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