研究実績の概要 |
三価カチオンを含む二元系酸化物について、第一原理計算のnsc-dd法を用いてイオン化ポテンシャル(IP)および電子親和力を求めた[Hinuma et al., Phys Rev. Mater. 3, 084605 (2019)]。昨年度計算した二価カチオンの系と同様[Hinuma et al., Phys Rev. Mater. 2, 124604 (2018)]、原子の大きさ(原子あたり体積の三乗根)の逆数とIPの間にほぼ線形の相関が得られることが判明した。二価と三価カチオンの酸化物のトレンドはほぼ重なるため、少なくてもd0およびd10化合物にとって、この関係性は普遍性があると推測される。昨年度の研究では、表面のとり方によってIPに2eV程度の幅があることも判明したため、水分解光触媒をスクリーニングするためには目標のIPの表面を積極的に狙う必要がある。同一化合物の複数の終端数を探索する上では、再構成などにより実験で合成できないと思われる終端を弾く必要がある。このため、2つの面指数のファセットに再構成する場合、その面指数候補を抽出する手法を開発した[Hinuma et al., Mater. Trans. Accepted MT-MN2019004]。あわせて、今年度にペロブスカイトやスピネル構造の無極性表面を自動的に作成するアルゴリズムを開発し[Hinuma et al., Mater. Trans. 61, 78 (2020)]、より多くの表面のIP計算が容易に行えるようになった。
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