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2019 年度 実施状況報告書

添加剤による層構造制御を軸としたLi伝導性酸化物材料のデータ駆動型機能創出

研究課題

研究課題/領域番号 18K04700
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

田村 友幸  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90415711)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードLiイオン電池 / 固体電解質材料 / 機械学習
研究実績の概要

本課題で実施する「膨大な探索空間の中から有効な添加元素を発見するデータ駆動型機能創出」のために,本年度は,以下の3項目を遂行した.
[1] 添加元素の効果をある程度把握するために,周期律表の半分以上の元素について,特定のモデルでのTiサイトへの元素置換に限定し,a) 置換による拡散活性化エネルギーの低下,とb) La-rich層とLa-poor層とでLa占有率の差の増大を調査し,それぞれについて有効と期待できる元素が見つかった.これらの起源について,電子論による解析を進めている.現在のところ,2つの条件を同時に満たす元素が見つかっておらず,今後は共添加の可能性も検討する.
[2] 実際の材料探索は,一つの物性の最適化ではなく,複数の物性の最適化が必要である.そこで,パレート最適化システムの開発を行い,安定エネルギーと拡散係数を同時に効率的に最適化できることを実証した.
[3] 粒界の理論研究の多くは,単純にモデル化された対応粒界を用いたものが多いが,実際の材料ではランダム粒界がほとんどである.その場合,非常に多くの原子を含んだモデルを扱う必要があり,通常のDFT計算では不可能である.そこで,レプリカセル法による原子エネルギー計算と,情報科学の能動学習による効率的な訓練データの収集を組み合わせた方法を提案し, 100万原子を含むランダム粒界についても,DFT計算と同等の計算精度で原子エネルギーを予測可能なシステムを開発した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度に,複数の物性の効率的な最適化が可能なパレート最適化システムの開発と実証を行った.また大規模ランダム粒界モデルについて,DFT計算と同等の計算精度で原子エネルギーを予測可能なシステムの開発を行った.これらは論文投稿中である.これらにより,共添加も考慮した元素添加の系および粒界を含む系の計算に移行できる.

今後の研究の推進方策

2020年度は,[1]添加元素探索および[2]粒界近傍でのLi拡散シミュレーションを実施する.
[1] 2019年度は特定のモデルに限定し,a)拡散活性化エネルギーの低下とb) La-rich層とLa-poor層とでLa占有率の差の増大について調査し,それぞれについて有効と期待できる元素が見つかった.また,複数の物性の効率的な多目的最適化が可能なパレート最適化システムを開発した.今後は (添加元素種)×(配置パターン)×(置換サイト)の膨大な空間探索に対し,パレート最適化法を適用し,共添加の可能性も探る.
[2]探索した結晶安定配置パターンについて粒界モデルを構築し,安定粒界構造を探索した後にLi拡散シミュレーションを実行する.

次年度使用額が生じた理由

国内学会参加のための旅費として計上していたが,コロナ感染拡大防止のために学会が中止となったため,次年度に使用することとした.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Active-learning-based efficient prediction of ab-initio atomic energy: a case study on a Fe random grain boundary model with millions of atoms2020

    • 著者名/発表者名
      Tomoyuki Tamura and Masayuki Karasuyama
    • 雑誌名

      arXiv.org

      巻: 1912.04596 ページ: 1-26

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Multi-objective Bayesian Optimization using Pareto-frontier Entropy2019

    • 著者名/発表者名
      Shinya Suzuki, Shion Takeno, Tomoyuki Tamura, Kazuki Shitara, Masayuki Karasuyama
    • 雑誌名

      arXiv.org

      巻: 1912.04596 ページ: 1-28

  • [学会発表] 第一原理計算で探るガラス中の局所構造2019

    • 著者名/発表者名
      田村 友幸
    • 学会等名
      第51回ガラス部会夏季若手セミナー 「紐解くガラス科学」
    • 招待講演
  • [学会発表] MI を活用した材料の粒界構造へのアプローチの現状と展望2019

    • 著者名/発表者名
      田村 友幸
    • 学会等名
      産業技術総合研究所 第6回エネルギー材料アライアンス講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] 機械学習による大規模粒界モデル中の局所エネルギー予測2019

    • 著者名/発表者名
      田村 友幸, 烏山 昌幸, 小林 亮, 竹内 一郎
    • 学会等名
      日本MRS
  • [学会発表] 第一原理計算によるLi-Si-O系材料のXANESスペクトル2019

    • 著者名/発表者名
      西野 雄哉, 田村 友幸, 小林 亮, 尾形 修司
    • 学会等名
      日本MRS
  • [学会発表] 機械学習を用いたFe粒界の偏析エネルギー予測2019

    • 著者名/発表者名
      飯沢 巧, 田村 友幸, 小林 亮, 尾形 修司
    • 学会等名
      日本MRS
  • [学会発表] 機械学習による大規模粒界モデル中の局所エネルギー予測2019

    • 著者名/発表者名
      田村友幸,烏山昌幸,小林亮,竹内一郎
    • 学会等名
      日本物理学会2019年秋季大会
  • [学会発表] Li-Si-O 系材料の表面がXANESスペクトルに与える影響2019

    • 著者名/発表者名
      西野 雄哉, 田村 友幸, 小林 亮, 尾形 修司
    • 学会等名
      日本セラミックス協会東海支部

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公開日: 2021-01-27  

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