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2020 年度 実績報告書

添加剤による層構造制御を軸としたLi伝導性酸化物材料のデータ駆動型機能創出

研究課題

研究課題/領域番号 18K04700
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

田村 友幸  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90415711)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードLiイオン電池 / 固体電解質材料 / 機械学習
研究実績の概要

LLTO結晶材料のLi導電性を向上させても,実際には焼結体として利用するために必ず結晶粒界が存在することになり,その粒界抵抗が電池全体の性能低下を引き起こす.そこで本年度は主に粒界近傍でのLi拡散シミュレーションを実施することにより,粒界抵抗の微視的な原因の解明を目指した.
[1] バルクではLa-rich/poor層のLa占有率の差が大きい方がLi拡散係数は大きい.これは細切れの三次元拡散よりも連続的な二次元拡散の方が望ましいことを意味している.
[2] 金属材料では鏡面対称な粒界が観察されるが, MgOなどの二元系金属酸化物ではカチオン-カチオン間及びアニオン-アニオン間の静電斥力が大きいために逆位相粒界の方が安定であると考えられている.バルク中の拡散係数が大きいLLTOモデルについてΣ5粒界モデルを構築し,安定粒界構造を探索したところ,各原子が電荷を持つために逆位相粒界の方が安定であると予想していたが,鏡面対称粒界の方が安定であることが明らかになった.
[3] 上で得られた鏡面対称Σ5粒界モデルを用いてLi拡散シミュレーションを実行したところ,粒界を横切る方向への拡散係数の低下が観察された.Liイオンはペロブスカイト構造のAサイトをホッピングしながら拡散していくが,粒界近傍でも同様である.しかし,粒界近傍ではAサイトの空隙が広がるためにイオン半径が大きいLaイオンが粒界直上のAサイトに存在しやすく,バルク中よりもLiイオンに及ぼす影響が大きいためにLiイオンが粒界近傍に近づくことができず,結果として横切る方向のLi導電性が低下することが明らかになった.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] First-principles XANES simulation for oxygen-related defects in Si-O amorphous materials2021

    • 著者名/発表者名
      Wataru Katayama, Tomoyuki Tamura, Yuya Nishino and Takakazu Hirose
    • 雑誌名

      Computational Materials Science

      巻: 196 ページ: 110555-1-7

    • DOI

      10.1016/j.commatsci.2021.110555

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Prediction of formation energies of large-scale disordered systems via active-learning-based executions of ab initio local-energy calculations: A case study on a Fe random grain boundary model with millions of atoms2020

    • 著者名/発表者名
      Tomoyuki Tamura and Masayuki Karasuyama
    • 雑誌名

      Physical Review Materials

      巻: 4 ページ: 113602-1-13

    • DOI

      10.1103/PhysRevMaterials.4.113602

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 粒界物性研究に向けた計算科学と情報科学の融合2020

    • 著者名/発表者名
      田村友幸
    • 学会等名
      第30回格子欠陥フォーラム
    • 招待講演
  • [学会発表] 機械学習に基づいた第一原理XANESスペクトルの予測2020

    • 著者名/発表者名
      飯沢 巧,田村 友幸, 小林 亮,尾形 修司
    • 学会等名
      第30回日本MRS年次大会
  • [学会発表] 粒界物性研究に向けた情報科学の導入2020

    • 著者名/発表者名
      田村 友幸
    • 学会等名
      第30回日本MRS年次大会
    • 招待講演
  • [学会発表] ニューラル・ネットワーク力場を用いたSiOの相分離過程のMDシミュレーション2020

    • 著者名/発表者名
      小林 亮,飯沢 巧,田村 友幸
    • 学会等名
      第30回日本MRS年次大会
  • [学会発表] Li-Si-O材料の構造欠陥の第一原理XANESシミュレーション2020

    • 著者名/発表者名
      片山 航,田村 友幸, 小林亮,尾形 修司
    • 学会等名
      第30回日本MRS年次大会

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公開日: 2021-12-27  

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