研究課題
陽極酸化法で作製するチタニアナノチューブアレイとプラズモニックナノ粒子の複合材料を合成し、その構造の詳細を明らかにすることに加えて、水分解光触媒電極としての性能を評価した。チタニアナノチューブアレイ内に銀などのプラズモニックナノ粒子を析出させる手法として、化学還元法、光還元法、電着の3つを比較した結果、光還元法と電着において、ナノチューブアレイの内部に、多様な形態の銀を析出させることができた。それらの水分解よう光触媒電極としての性能を評価したところ、銀の析出形態によって性能が大きく変化することがわかった。一方で、合成時の僅かな条件の変化によって得られる構造が異なってしまうため、再現性を担保することが大変困難であった。また、当初作製していたチタニアナノチューブアレイの長さは、光吸収を最大化できるように設計していたが、水分解性能の向上には長さを短くすることが有効であると示唆される結果を得たため、最終年度ではチタニアナノチューブアレイの長さの最適化を実施し、光吸収と水分解の特性を最大化できる形態の模索を行った。結果として、従来の数マイクロメートルではなく、数百ナノメートル程の長さが最適であることが示唆された。チタニアナノチューブアレイを水熱処理でチタン酸ストロンチウムナノチューブアレイに変換し、また、銀以外のプラズモン源として還元型チタン酸ストロンチウムを採用したナノ複合光触媒電極も作製し、その特性を評価した。この複合材料は、合成方法の最適化を行っていない状態で、チタニアナノチューブアレイに匹敵する水分解性能を発揮しており、今後の研究の展開に大きく寄与するデータを得ることができた。
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