研究課題/領域番号 |
18K04702
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
橋本 忠範 三重大学, 工学研究科, 准教授 (10271016)
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研究分担者 |
石原 篤 三重大学, 工学研究科, 教授 (60212908)
那須 弘行 三重大学, 工学研究科, 准教授 (20189179) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | pH電極 / ガラス電極 / ステンレス電極 / 作用電極 / 比較電極 / 琺瑯電極 / 酸化銀 / 酸化鉄 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,(1)液漏れしない比較電極および(2)琺瑯電極の開発である。 (1)現在,流通しているpH複合電極は,pH応答する作用電極とpH応答しない比較電極から構成されている。比較電極は内部液をわずかながら流出させることで被検液との電気的接触を実現している。これまでに前例のない液漏れしない比較電極の実現は,被検液の汚染を嫌うバイオ系や創薬開発の分野での潜在的ニーズが多いと考えられる重要課題である。これまでに申請者が見出した比較電極になり得るFe2O3-Bi2O3ガラスを作製し,そのpH応答性能を評価して比較電極用ガラス組成を決定する。 (2)ガラスと金属の長所を兼ね揃えた琺瑯電極を作製するため,作用電極として実績のあるFe2O3-Bi2O3-GeO2ガラスをステンレス(SUS)上に成膜・融着し,琺瑯電極の試作とpH応答の評価を行う。 液漏れしない比較電極に関しては,これまでに開発したFe2O3-Bi2O3ガラスが,高い比抵抗を持つために見かけ上低いpH感度を示したためであり,比較電極として使用することが困難であることが明らかになった。そこで新たに比較電極用ガラスの開発が必要となった。一般にAg/AgClが比較電極に用いられていることからAg2Oを含むガラスに着目した。Ag2Oを含むガラスの一部で比較的低いpH感度を示すガラスが見出された。 琺瑯電極に関しては,作用電極として実績のあるFe2O3-Bi2O3-GeO2ガラスを用いて琺瑯電極を作製することを試みたが,融着温度が高く,ステンレス上での琺瑯電極作製は困難であった。そこで,より低融性のFe2O3-TeO2ガラスに着目した。今回は乾式のドクターブレード法でガラス粉末を塗布した後,融着を行った。比較的比抵抗が高いが良好な融着状態の琺瑯電極の作製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
液漏れしない比較電極に関しては,新規のAg2Oを含むガラスが比較電極用ガラスとして有力であることがわかった。一方,低いpH感度を示す範囲が狭いのと,pH感度が十分低くないという課題が残ったため。 琺瑯電極に関しては,伝導性と低融性を兼ね揃えたFe2O3-TeO2ガラスとステンレスを用いて琺瑯電極を作製し,pH応答性能を評価できた。一方,琺瑯電極のpH感度は,元のガラスのpH感度より若干低く,また,剥離しやすいという課題が残ったため。
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今後の研究の推進方策 |
液漏れしない比較電極に関しては,Ag2Oを含むガラスにおいて,より低いpH感度を示すガラスを探求する。 琺瑯電極に関しては,一般的な琺瑯では,接着性を高めるためにNiOやCoOが添加されているので,これら成分を添加したFe2O3-NiO-Bi2O3やFe2O3-CoO-Bi2O3ガラスを用いた琺瑯電極の作製を試みる。また,湿式法による琺瑯作製も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
投稿論文のオープンアクセス経費の拠出を予定していたが,論文掲載日(4/1)が三月末日に決定したため,年度内に処理できなったため。
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