今年度は測定系の構築と試料の作製を実施した。 測定系は,同軸のプローバーを用いて4端子対法による測定が可能である。周波数領域は8 MHz ~ 4 Hzまで対応し,バルク成分と粒界抵抗成分を分離して測定することができる。温度を室温~200°Cの範囲で制御することが可能であり,また顕微鏡下で,固体電解質ペレットの任意の場所に,直径10 ~ 30 μmの金の微小電極を形成する技術を確立した。 上記の測定系の動作を確認するため,微小な粒子からなる固体電解質シートに対してイオン導電率測定を面内および面直方向で行い,バルクでの測定結果と比較した。面直方向の測定結果は,バルクの測定と同様の結果を示した。一方,面内方向の測定結果は,抵抗が大きかった。これは電極間距離に対して,試料の厚さが薄く,電場がひずんだ可能性がある。十分に厚い試料を用いる必要があることが分かった。 また,リチウムイオン伝導体として,ガーネット型Li7La3Zr2O12 (LLZ)の焼結体と単結晶体を入手した。焼結体は,粒径が100 μm以上の粗大粒子で構成されており,上述の測定系において,十分評価できる試料を得た。
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