現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、炭化されたフラン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂由来微粒子(粒径:10 ミクロン以下、適宜選択)を800℃程度のKOH賦活(N2中)もしくはCO2賦活することで活性炭化し、組成や表面官能基を評価してきた。 Boehm法による活性炭表面上の酸及び塩基官能基量の定量結果から、フラン樹脂由来の活性炭表面に対して種々の賦活を施すと表面上の有機官能基成分が変化する。元素分析による樹脂炭化物と活性炭の組成、及びBoehm滴定法による表面の全酸性基・全塩基性基量(元素分析では灰分を除き、C, H, N, Oの総量を100%として規格化)から、各樹脂の600℃炭化物の組成は、フランはO含有量(13.1%)がフェノール(5.8%)よりも高く、炭化後にO元素を多く残有した。メラミンはO含有量(9.1%)に加えてN含有量(31.8%)が大きく、樹脂モノマー骨格中のNが600℃炭化後も多く残存していた。賦活後組成は、フラン樹脂の700, 800℃KOH賦活後ではO含有量(10%以上)を維持したが、900℃KOH賦活後(2.1%)と1000℃CO2賦活(0.11%)によって大幅に減少した。また、KOH賦活温度が増大すると全酸性基量が減少したことから、活性炭表面のO含有酸性官能基が900℃以上の高温処理で消失したと考えられる。フェノールも同様の傾向を示した。メラミンは,炭化物のN含有量(31.8%)が賦活温度700, 800℃でそれぞれ4.6, 2.0%に大幅に減少したが、全塩基性官能基量(2.57, 2.02 mmol/g)がフラン、フェノールの5倍以上大きかった。モノマー骨格中のN元素がN含有塩基性基として賦活後も残存している可能性が高いことが分かった。まだメラミン樹脂由来活性炭については表面官能基の評価が不足しているため、いそぎ評価を進める。
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