研究課題/領域番号 |
18K04711
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
勝又 哲裕 東海大学, 理学部, 教授 (90333020)
|
研究分担者 |
稲熊 宜之 学習院大学, 理学部, 教授 (00240755)
大村 はまな (城田はまな) 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所, 化学技術部, 主任研究員 (00426397)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 高圧合成 / リチウムナイオベート / 酸窒化物 |
研究実績の概要 |
今年度は、高温高圧装置の立ち上げとチウムナイオベート型酸窒化物の新規合成ルートの探索に取り組んだ。 1.高温高圧装置の立ち上げ 既存250トンプレスへの超高圧アンビルの取り付けは完了し、またBi金属、Te金属を用いた圧力校正、カーボンヒーターを利用した温度校正を行った。これまで5GPa前後の圧力基準点としてTl金属の相転移(3.68GPa)が用いられてきたが、Tlは毒性が高いことから、Te金属の金属-半導体相転移(4.04GPa)を利用して圧力校正を行った。その結果、250トン印加時に、4.5GPaの圧力が発生していることが確認できた。さらに、4.5GPa圧力下で、厚さ0.5mmのシリンダー状のカーボンヒーターを用いて合成に用いる高圧セルを加熱したところ、1200℃まで昇温できることが確認できた。今後、本装置を用いて新規リチウムナイオベート型酸窒化物の合成に取り組んで行く予定である。 2.リチウムナイオベート型酸窒化物の新規合成ルートの探索 高圧装置の立ち上げと並行して、新規合成ルートの探索にも取り組んだ。本学で立ち上げを行っている高温高圧装置は、これまで合成に使用したが学習院大学依存の装置に比べ発生圧力が低く、そのままではMn(Mn1/6Ta5/6)O2.5N0.5の合成に利用することはできない。しかし、より低圧力で合成が可能な新たな合成ルートを確立できれば本学設置の合成装置を用いて合成に取り組むことができる。そこで、今年度は様々な方法で出発原料に前処理を施し、より低温、低圧力での合成の可能性について検討した。その結果、出発原料であるTaON、MnO、Ta2O5を石英管に封入し、800~1000℃で仮焼成した後、高圧合成を行うことで、反応温度を低下させることに成功した。しかし、これら前処理によって合成圧力を低下させることはできなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高温高圧装置の立ち上げについては、申請時の計画通り順調に進んでいるが、試料の合成については、新規合成ルートの探索に時間がかかり当初の計画より遅れている。高圧装置の立ち上げが終了したことことから、試料合成のペースを早め、進捗の遅れを取り戻していきたい。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は学習院大学既設の高温高圧装置、本学で立ち上げた高温高圧装置を用いて、Mn(Mn1/6Ta5/6)O2.5N0.5の合成、キャラクタリゼーションを進め、またMn2+6B2+Ta5+5O15N3 (B2+=Mg, Zn, Fe, Co, Ni)の合成にも取り組み、これら試料の単相試料の合成を目指す。共同研究者である学習院大学稲熊教授、神奈川県産業技術研究所大村(城田)はまな研究員とは連絡を取り合っており、今後も緊密な協力体制を維持し、研究課題を推進していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
人件費の支払いが想定金額より低く抑えることができたため、所要額との差額が生じた。次年度使用額は人件費、もしくは消耗品費として使用する予定である。
|