研究実績の概要 |
今年度は、昨年度立ち上げた250トンプレスを用いたMn(Mn1/6Ta5/6)O2.5N0.5合成手法の探索、また類似化合物であるMn6B2+Ta5O15N3 (B2+=Mg, Zn, Fe, Co, Ni)の合成に取り組んだ。出発原料としてTa3N5を用いる、仮焼成条件を最適化するなど前処理条件の再検討を行ったが、合成圧力を低下させることはできなかった。また、Mn6B2+Ta5O15N3 (B2+=Mg, Zn, Fe, Co, Ni)の合成にも取り組んだが、250トンプレスでは圧力が不足しており、合成することはできなかった。 そこで、共同研究者である学習院大学稲熊教授の協力のもと、学習院大学に既設の600トンプレスを用い、これら化合物の合成に取り組んだ。その結果、Mn(Mn1/6Ta5/6)O2.5N0.5単相試料の合成に成功した。またMn6B2+Ta5O15N3 (B2+= Zn, Ni)の合成に取り組んだところ、Mn6ZnTa5O15N3については、ほぼ単相試料の合成に成功した。これは、Mn(Mn1/6Ta5/6)O2.5N0.5に続き、ほぼ単相での合成に成功した2例目の化合物であり、大きな成果である。 さらに、これら化合物について、共同研究者である神奈川県立産業技術総合研究所城田研究員の協力のもと、陰イオンの組成分析を行った。その結果、Mn(Mn1/6Ta5/6)O2.5N0.5、Mn6ZnTa5O15N3ともに理論値に近い値となり、いずれの試料もほぼ仕込み組成通りに窒化物イオンが導入されていることが確認できた。 現段階では、単相のMn6ZnTa5O15N3は合成できていないため、今後、合成条件を詳細に検討することで、単相試料の合成を目指す。また並行して、Mn(Mn1/6Ta5/6)O2.5N0.5の物性評価、より低圧での合成方法の探索も進めていく。
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