現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の推進方策に対して、おおむね順調に進行してる。
【1.水熱合成法により得られた試料の電気伝導度評価】水熱法で合成したペロブスカイト関連構造を持つBa5Nb4O15の500℃における電気伝導度は、固相反応法で合成した試料と比較して約2桁高かった。また、400℃付近において電気伝導度のアレニウスプロットの傾きが変化したため、結晶構造中の水酸化物イオンの脱離による電化キャリアの変化が示唆された。 【2、赤外分光法を用いた水酸化物の解析】酸素欠損ペロブスカイト構造をもつBa(ZnxNb1-x)O3-dは大気中から結晶格子中へ水分子を取り込み 酸水酸化物Ba(ZnxNb1-x)O3-d(OH)yへと変化する。拡散反射法を用いたTFIR測定を40℃~600℃で行い、ガウス曲線を用いたスペクトルのピークフィットにより、各ピーク面積値の温度変化と振動数から試料中におけるO-H結合形態を推測した。スペクトルは6つのガウス曲線によって再現され、40C℃~100℃の温度範囲において、ピーク4, 5, 6のピーク面積は大幅な減少、ピーク1, 2のピーク面積は増大を示した。また、ピーク3のピーク面積はほぼ変わらなかった。結晶格子中の水酸化物イオンは吸着水以上に強い結合を形成するため、高振動数側で観測されると考えられる。したがって、ピーク4, 5, 6は結晶粒表面に吸着した水分子、ピーク1, 2, 3は格子酸素とプロトンが形成したO-H結合に帰属されると推測した。 【3、水酸化物イオン含有量の増大】当該年度に導入した特注の電気炉により、気相で高濃度水蒸気と試料を反応させることが可能となり、結果として試料の水酸化物化が促進されることを確認した。
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