研究課題
我々は、フラーレン・ナノ・ファイバー(FNF)の超伝導特性を測定し、超伝導線材としてのポテンシャルを評価してきた。昨年まで行っていたアンモニア法によるアルカリ金属のインターカレーションの研究の結果を踏まえて、Rbについてフラーレンにインターカレーションを行い、インターカレートされたフラーレンをアルミ、ジュラルミン、銅、SUS、真鍮、モネル管等をシースとした溝ロール-平ロールによる圧延手法を中心に線材の作製を行ってきた。これらの中では、モネル管や真鍮の使用の場合においてよい結果を得てきた。そして臨界電流密度Jcを測定してきた。モネルシース中のK3C60NWs及びRb3C60について、4端子法によりに電流を1mA-200mA間で変化させて超伝導転移を測定するとKドープの場合ゼロ抵抗は1 mAで14 K、100 mAで8 Kと約6K低下した。他方Rbドープでは1 mAで22K、100 mAで18 Kと約4K低下した。PITプロセスによって、粉末であったり、空気中で不安定だった超伝導材料が実際に超伝導線として使用可能であることを示すことができた。このプロセスが磁性体に応用できることを発想し、その例として磁気冷凍材磁気冷凍材料(ErAl2)を充填して溝ロールによって線材とし、水素液化用磁気冷凍ベッドとしての特性を評価した。超伝導では、シース内部に封入した粉末の各粒界に超伝導電流が流れる必要がある程度の結合が必要となり、最も弱い部分の粒界結合が線材の特性を決めることになる。ところが、磁気冷凍材料では粒界間の結合に関わらず、スピン間のインタラクションで決まるため、粒界間結合とは無関係であり、上記プロセスを効果的に応用できることが分かった。本年は、特にシース内に充填する、様々な材料についても磁化、比熱、エントロピー変化の面から研究した。
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