研究課題/領域番号 |
18K04723
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
西村 達也 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (00436528)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | らせん高分子 / 有機無機複合材料 / 高分子ブラシ |
研究実績の概要 |
本研究では不斉触媒の開発および光学異方性に優れた複合材料の開発を行っている。既に研究代表者が予備的な結果を得ている高分子ブラシを用いる無機結晶の結晶成長制御の研究で得られた知見を基に、この研究構想をさらに発展させた新しい光学活性有機/無機複合体材料の開発を、特に基礎化学に焦点をあてて行うものである。 本年度はらせん高分子ブラシの作製・立体構造制御を行った。ブラシ状の高分子基板を作製するためには、高活性な触媒・表面修飾重合開始剤の開発、モノマーの開発、重合条件の最適化が必要である。これまでに感温性高分子ブラシの開発とそれを用いた有機/無機複合体の温度制御について研究が行われてきた。しかし、立体規則性や高次構造の制御は達成されていない。リビング重合が可能ならせん状ポリフェニルイソシアニドに着目し、構造や分子量が制御されたブラシ基板を作製した。Pd触媒を、ガラス基板に高密度に固定化した開始部位と反応させ、重合開始基板とし、重合条件の最適化を検討したところ、シリコン基板に一様にポリイソシアニドブラシを形成することに成功した。 さらにシリカゲルパーティクル上にブラシを生やし、高分子ブラシパーティクルを作製した。得られた高分子マトリクスを用いて複合材料の合成を試みた。結晶成長制御分子として、ポリアクリル酸を添加して炭酸カルシウムの結晶成長を試みたところ、シリカゲルパーティクル全面に炭酸カルシウムの薄膜が形成し、無機材料のコーティング材として利用出来る事が分かった。粉末X線結晶回折、電子顕微鏡の結果から、得られた薄膜結晶はカルサイトである事が分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画の通り、ポリフェニルイソシアニドのポリマーブラシおよびその複合化まで達成している。さらに、その他の共役高分子のリビング重合法に着手して、結果が出始めている。
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今後の研究の推進方策 |
得られたポリイソシアニドのポリマーブラシを用いて様々な複合材料(炭酸カルシウムの異なる多形、リン酸カルシウム、酸化亜鉛等)の合成を試みる。また、より活性が高く、リビング性を有する重合触媒の開発に向け、様々な配位子を試して新しい重合法を見出す。現在使用しているPd錯体はリン配位子の設計が完全では無い。2座配位、立体反発などを利用して、触媒の活性を調整する。 さらに、共役高分子のリビング重合によるトポロジー高分子の作製を平行して行い、結晶成長制御分子の候補として高次構造が果たす役割を詳細に検討する。
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