研究課題/領域番号 |
18K04725
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研究機関 | 公益財団法人名古屋産業科学研究所 |
研究代表者 |
余語 利信 公益財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 研究員 (00135310)
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研究分担者 |
小島 隆 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70333896)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 無機・有機ハイブリッド / メタロキサン / 燃料電池 |
研究実績の概要 |
メタロキサンと不飽和結合を有するホスホン酸、スルホン酸を分子設計し、これらの共重合反応により合成した無機・有機ハイブリッド膜の構造とプロトン伝導性、機械的性質および燃料 電池特性の関係を明らかにする。特に、不飽和結合を導入した14族や4族金属の環状メタロキサン(M-O)n(n<4)を合成し、環状メタロキサンの特性を生かしたプロトン伝導度、機械的特性および電池特性に優れたハイブリッド膜を合成することを目的に研究を遂行した。 令和元年度は新規不飽和結合含有メタロキサン(M-O)n (n<4)として、14族金属であるケイ素について有機シロキサン化合物を選択し、不飽和基を結合させた環状シロキサン化合物を用いた。プロトンキャリア含有不飽和化合物との共重合により共重合体を得、ハイブリッド膜を合成した。骨格構造、微細構造、機械的性質、酸化安定性、含水率などを調べた。微細構造、機械的性質、化学的安定性は、環状シロキサン化合物の含有量に依存していた。特に機械的性質については、環状シロキサン化合物含有量を最適化することが重要であり、その選択により、良好な粘弾特性と引っ張り強度が得られた。さらにハイブリッド膜のプロトン伝導度を調べ、燃料電池特性を評価した。プロトン伝導度はホスホン酸基含有量に比例して向上した。また、中温度域、低加湿条件下において、環状シロキサン化合物の最適化により良好な電池特性を示し、長時間運転用電池膜として有望であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は、メタロキサンとしてシリコン系を選択し、シロキサンハイブリッドの合成と評価を行った。合成した環状シロキサン系ハイブリッド膜について、機械的特性や燃料電池特性についてはほぼ目的とする結果が得られた。また、鎖状構造を有するシロキサンハイブリッド膜も合成し、燃料電池特性や機械的特性を比較したところ、環状シロキサンハイブリッド膜が、優れた機械的特性を示すことがわかった。環状シロキサン系ハイブリッド膜の機械特性やその結果をもとに、メタロキサンユニット含有膜を構築し、膜の機械的特性をさらに改善し、2年度はシロキサン含有ハイブリッドを基にさらに高性能材料を開発する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度には、メタロキサンとして環状シロキサンを検討する。ヘテロ環状化合物や不飽和結合含有プロトン酸との共重合により環状シロキサンユニットを含有するハイブリッド膜を合成し、機械的性質や粘弾性を測定し、薄膜化可能なハイブリッド膜を調製する。特にヘテロ環状化合物の添加による薄膜化や機械的性質の向上を詳細に検討し、プロトン伝導度やヤング率への影響を調べる。中温域、低加湿下での電流‐電圧特性などを評価し、140℃、30%加湿下での長時間作動を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定していた国際会議および国内学会がコロナウィルス対策により中止となった。
次年度において、物品費、学会参加費、成果の論文投稿料などに使用する予定である。
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