研究課題/領域番号 |
18K04729
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
毛利 恵美子 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (60380721)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | セルロースナノクリスタル / カプセル / 高分子 / 液晶 / 複合化 / 微粒子 |
研究実績の概要 |
生物が実現しているような緻密な階層構造の組み上げを、広い物質群に適用可能な方法で 実現することは、材料開発における重要な課題である。高汎用性を実現するため、高分子材料を用いた“階層構造のカプセル化”を基盤とする高次構造形成法を考案した。セルロース由来の素材の中でもセルロースナノクリスタルと呼ばれるセルロースナノロッドは、セルロース成分からなるナノサイズの異方性粒子であり、溶液中でコレステリック液晶性を発現することが報告されている。このセルロースナノクリスタルを用いて、複雑な内部構造を有する構造体を創出することができれば、無害・安価で高機能性を有するソフトマテリアルの創出に繋がる。 そこで本研究では、このCNCと高分子を複合化した新規な粒子の創出に取り組んだ。セルロースナノクリスタルと複合化する合成高分子、使用する溶媒などのスクリーニングを行った。必要な条件を満たす合成高分子を用い、自己組織化析出(SORP)法によりセルロースナノクリスタルと合成高分子による複合微粒子化を検討した。 その結果、ある種の合成高分子とセルロースナノクリスタルを自己組織化析出(SORP)法を用いて複合化することにより、片方の成分をコア、もう一方の成分をシェルとする直径数十マイクロメートル程度のコアーシェル構造の微粒子を創出できることを見出した。色素のセルロースナノクリスタルおよび合成高分子への吸着特性を利用して、蛍光顕微鏡によりコアおよびシェルを形成する成分の同定を行った。セルロースナノクリスタルと組み合わせる合成高分子の分子量によって、異なる構造体が得られることも確認しており、今後詳細を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の取り組みにおいて、ある種の合成高分子とCNCを自己組織化析出(SORP)法を用いて複合化することにより、片方の成分をコア、もう一方の成分をシェルとするコアーシェル構造の微粒子を創出できることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
粒子の調整条件を検討し、CNC成分がコアとなる粒子とCNCがシェルとなる粒子の2種類を作り分ける。CNCをコアとする粒子については、コア内部にコレステリック液晶性が発現する可能性が高いので、その構造を同定するとともに、らせん構造の制御を試みる。(らせんの向きやピッチなど)らせん構造の制御により、色調可変な材料となる可能性が高い。一方で、CNCをシェルとする粒子については、コア部分の高分子結晶構造の制御を試みる。限定された領域であるCNCシェル内部で高分子が結晶化することにより、結晶サイズが制御できる可能性が高く、新規な機械的強度特性を有する材料の開発に繋がる。
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次年度使用額が生じた理由 |
発注していた物品の納期が間に合わなかった為、5万円程度の残金が生じた。物品は現在すでに納品されており、計画に大きな変更はない。
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