研究課題/領域番号 |
18K04730
|
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
芝本 幸平 東京都立大学, 理学研究科, 助教 (50457834)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 太陽電池 / 表面プラズモン励起 / ナノ薄膜 / 疑似太陽光 / 色素増感 |
研究実績の概要 |
三次元的配置による高変換効率を持つ色素/プラズモニック増感太陽電池の開発において、コロナの影響で当初の計画とは異なり、疑似太陽光源から任意の波長を抽出し、照射できるシステムの再構築を行った。また、初年度に引き続き、薄層酸化チタン膜による太陽電池を作製し、二つの太陽電池を並行するシステム設計をした。 初年度で購入した疑似太陽光源を用いて太陽光の再現と、疑似太陽光源から分光し任意の波長を抽出する光学系の構築と同時に作製した太陽電池へ照射できるシステムを再構築した。その際、その抽出できる波長領域は10ナノメートル以下となるように光学系を調整し、任意の波長と強度、さらに照射面積において照射が可能となった。これにより作製する太陽電池表面に任意の波長と強度で光照射可能となり、それぞれ作製した太陽電池の電池性能に対する波長特性を得られるようになった。また、太陽電池を並行に設置し、その間に疑似太陽光を照射できるように光学系を構築した。 太陽光の吸収を大幅に向上させることができる粒子径が20から100ナノメートル金ナノ粒子を酸化チタンナノ薄膜に展開した太陽電池の電池特性を評価した。 また、金ナノ粒子の特異的は光応答現象である表面プラズモン共鳴領域500から600ナノメートルの光照射において、特に大きな太陽電池性能の向上が確認できた。また、同様にエオシンYなどの色素を用いて色素増感太陽電池と組み合わせることで、金ナノ粒子と色素という複数の増感剤が共存する太陽電池の作製にも取り掛かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度において本来は事業最終年度となる予定でしたが、コロナの影響で思うように実験の準備が整わず、延長するに至った。そのため、これまでに構築してきた、疑似太陽光の任意抽出可能なシステムの再構築と、これまでに作製してきた太陽電池の高精度化に努めてきた。幸いにして、上述の項目を行うにあたっては、現状として最善を尽くしてきたので、最終年度に向かっての進捗は最低限行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
コロナの影響で三年目に行う予定の新しい実験はあまり行えなかったが、それは延長申請により、次年度に本来の予定を遂行する。初年度の基礎的な項目と二年目の実験条件の検討と違い、最終年度は応用的な要素が支配的となるため、遂行に支障をきたす可能性もある。 そのため、できるだけ増感剤の種類だけでなく実験条件や新たな試料作製技術の導入などに関する豊富にして大量のデータ収集に努める。それにより、最終年度においては太陽電池の変換効率を議論できるように研究を進める予定である。また、その機構解明にある程度の労力を割いていく予定である。 各波長における変換効率を系統的に調べるととも にその変換効率を生み出すポイントを理論的に明らかにすることで、より効率的に最適解を模索する。 現時点では大きな問題が生じていないが、予定の研究進度に及ばない場合は、研究協力者を増やして対応する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響で、実験機材等の入手や研究遂行自体に支障がきたされたため、研究期間の延長を申請し、次年度に予算を繰り越す決定をせざるを得ない状況となったためである。使用目的は、本来旅費等に用いる予定の予算もコロナの影響で出張が制限されるため、できるだけ実験機材や試薬等に用いる予定である。
|