研究実績の概要 |
最終年度は、粒子径数10ナノメートルから100ナノメートル程度の金属ナノ粒子を高秩序に二次元配列化し、その分光特性および太陽電池への応用可能性に関して論文を投稿した。その結果、ACS Omega(2022, 7, 49, 44711-44719)誌に採択された。本課題の太陽電池開発において可視光領域の光吸収特性とその吸収した光エネルギーの損失が非常に重要な要素となるが、本論文では通常の孤立系の金ナノ粒子(吸収領域は520ナノメートル付近で表面プラズモンによる高効率吸収特性)では発現しない長波長領域(600ナノメートルから700ナノメートル付近で表面プラズモンの配列効果によるもの)の光吸収特性がその二次元配列効果によって確認され、その特性を光センシングという形でその光エネルギーの利用性を議論した。 本課題ではコロナの影響で途中研究が滞り延長期間を設けて遂行したが、最終年度において太陽電池の光受光基板の作製に目途が付くことで一定の成果をあげられたと考える。実際、金ナノ粒子の表面プラズモン吸収が太陽電池の発電効率を上昇させることは確認しているため、本課題では金ナノ微粒子の化学的安定性と、超高秩序かつ非接触二次元配列体の超高広帯域の可視光吸収特性、さらに色素で補完することで高効率な発電効率を目指す上で、その基板作製は次につながる基板開発となった。本課題における三次元化についてはその吸収特性を検証している最中であり、成果がまとまり次第論文という形で公表する予定である。
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