研究課題/領域番号 |
18K04739
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
山本 春也 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 上席研究員(定常) (70354941)
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研究分担者 |
田口 富嗣 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 東海量子ビーム応用研究センター, 上席研究員(定常) (50354832)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 円柱状ナノ空間構造 / イオンビーム / 電子線 / 金属ナノ粒子 / 局在型表面プラズモン共鳴吸収 / 触媒 |
研究実績の概要 |
金属ナノ粒子の局在型表面プラズモン共鳴吸収による光発熱効果は、太陽光エネルギー利用の観点から近年注目されている。光発熱性に加えて触媒性を付与できれば太陽光のみで駆動する機能性材料の開発が期待できる。本研究では、イオンビーム照射と化学エッチング処理によりポリイミドフィルムに形成される円柱状ナノ空間内に局在型表面プラズモン共鳴吸収により発熱するプラズモンナノ粒子や触媒金属ナノ粒子など貴金属ナノ粒子を高密度集積する手法の開発を目的に研究を進めている。本年度は、ポリイミドフィルムに形成した円柱状ナノ空間構造内への貴金属ナノ粒子(Pt, Au, Ag, Pd)の形成について研究を実施した。具体的には、ポリイミドフィルム(厚さ25μm)に対してフィルムを貫通する350 MeV Xeイオンビームの照射(3 × 107 ions/cm2)を行い、次亜塩素酸ナトリウム溶液で化学エッチングすることにより円柱状ナノ空間構造(口径:500 nm、長さ:25μm)を作製した。その後、貴金属イオン水溶液に浸漬した試料に2 MVの電子線を照射(500 kGy)し、貴金属ナノ粒子を形成した。円柱状ナノ空間内の貴金属ナノ粒子は、透過型電子顕微鏡によりその形態や集積度合を調べた。その結果、Au, Pd, Agでは、大きさ10 nm程度の孤立したナノ粒子の担持される一方、Ptでは、大きさ5 nm程度のナノ粒子がネットワーク構造を形成して担持されなどナノ粒子の担持形態が異なることがわかった。今後の研究では、電子線照射量、各貴金属イオン水溶液の濃度をパラメータに円柱状ナノ空間構造内への貴金属ナノ粒子の高密度集積を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イオンビーム照射と化学エッチング処理により円柱状ナノ空間構造を形成したポリイミドフィルム試料を貴金属イオン水溶液中で電子線照射することにより、円柱状ナノ空間構造内に貴金属ナノ粒子(Pt, Au, Ag, Pd)を分散して担持することに成功したことから、研究は当初の計画どおりに順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、円柱状ナノ空間構造を形成したポリイミドフィルム試料に対して、貴金属塩水溶液の濃度、電子線照射量などをパラメータに、円柱状ナノ空間内に金属ナノ粒子(Pt, Au, Ag, Pd)の高密度に集積する手法を探索するとともに、局在型表面プラズモン共鳴吸収による光発熱性及び触媒性を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
金属ナノ粒子を生成するための電子線照射容器の製作において、電子線照射による試料温度制御ユニットの影響を調べる必要が生じ、試料温度制御ユニットの組み込みを次年度にしたため。
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