研究実績の概要 |
WC-12wt%Co合金とS45C炭素鋼の間にNi箔を挿入し、突起付回転ツールを用いて摩擦攪拌プロセスを行った。WC-12wt%CoとNiの界面では、CoとNiの相互拡散が認められた。炭素鋼とNiの界面では、FeとNiの相互拡散が認められた。いずれの界面にも化合物相の生成は認められず、良好な接合界面を得ることができた。それに対し、Ni箔を挿入しなかった場合には、Fe, Co, WCが反応し、W6(Fe, Co)6C等の化合物相が生成し、界面強度は低下した。摩擦攪拌プロセス中の温度測定の結果、プロセス温度は1000℃近くに達していたことが分かった。A1変態点を大きく越えたために、W6(Fe, Co)6C等の化合物相が生成したものと考えられた。 次に、Fe粉末とダイヤモンド粉末を質量比1:1で混合し、パルス通電焼結によりA1変態点未満の温度となる、700℃、600℃での焼結を試みた。また、比較のためにFe粉末のみを用いた場合についても焼結実験を行った。その結果、700℃、600℃のいずれの温度においても保持時間を1時間とすることで空隙を含む焼結体を得ることができた。また、これらの焼結体は容易に破壊されることなく、その後の摩擦攪拌プロセスに供することができた。底面がフラットである回転ツールを用いて摩擦攪拌プロセスを施すことで、回転ツールによって破壊することなく、焼結体を緻密化できることが分かった。Feとダイヤモンドの界面構造については、今後、詳細に観察する予定である。
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