研究課題/領域番号 |
18K04746
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
三宅 純平 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (30581409)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高分子合成 / 燃料電池 / 高分子電解質 / 膜 / プロトン伝導 |
研究実績の概要 |
研究代表者はこれまでに、フェニレン環とスルホン酸基のみから成るSPP-QP(スルホン酸化ポリフェニレン)膜が、高いプロトン導電性と化学的安定性を併せ持つことを見出している。本年度は、更なる高性能化・高耐久化のための分子設計指針を得ることを目的に、スルホン酸化ポリフェニレン主鎖の分子配列(つまり、親水部や疎水部の連続性)が、膜のモルフォロジー、プロトン導電性、化学的安定性などの物性に及ぼす影響について検討を行った。 具体的には、SPP-QPと比較して、よりランダムな(親水部や疎水部の連続性がより低い)主鎖配列を有する新規スルホン酸化ポリフェニレン電解質(SPP-BP)を設計・合成・比較した。まずSPP-BP膜のモルフォロジーは、温度湿度が制御された環境下、小角X線散乱(SAXS)により解析した。その結果、SPP-BP膜はSPP-QP膜と比較して、より周期性の低い構造を有することが確認された。これは、主鎖の配列に起因、すなわち、SPP-BP主鎖の配列はSPP-QPと比較して、よりランダムであることが示唆された。また、SPP-BP膜の含水率およびプロトン導電率についても、温度湿度が制御された環境下において測定した。その結果、SPP-BP膜の含水率およびプロトン導電率は、SPP-QP膜と比較してより低い値を示した。これは、上述のモルフォロジーに起因すると予想される。他方、加速劣化(フェントン)試験後も、SPP-BP膜の重量やプロトン導電率などの諸物性は変化せず、SPP-QP膜と同程度の極めて高い化学的安定性を有することが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、電解質膜の性能と耐久性を両立するための分子設計指針(親水部・疎水部連続性の効果)を見出すことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は研究計画通り進展しているため、今後も当初の研究計画通り、 ①高性能化・高耐久化を目指した高分子主鎖の更なる最適化 ②架橋、補強による高靱性化 についての研究を推進する。最終的には、 ③燃料電池発電環境下において、Nafion膜を凌駕する性能と耐久性を併せ持つ新型電解質膜の開発、および、その設計指針 を提案する。
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