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2021 年度 実施状況報告書

水素含有希土類添加酸化物の発光特性の物理と新規シンチレータ材料応用への展開

研究課題

研究課題/領域番号 18K04747
研究機関名古屋大学

研究代表者

吉野 正人  名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10397466)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード蛍光体 / 水素 / 希土類 / 酸化物 / シンチレータ
研究実績の概要

前年度までに得られた研究成果に基づいて、添加元素や水素、酸素空孔の影響が見られた系について加えて系統的な実験を行うなどによりその傾向を明らかにしてメカニズムのモデル化を行うための評価、考察を行った。
Y3Ga5O12(YGG)、Y3Al2Ga3O12(YAGG)において、ともにPr3+の4f-5d吸収は励起スペクトルでみられるが、Zn添加によりこの4f-5d吸収ピークが短波長側にシフトしていることがわかり、このことからPr3+の5d準位が高エネルギー側にシフトしている可能性が示唆された。一方で、これらホストの吸収スペクトルのZn添加に伴う変化からはバンドギャップは小さくなる傾向があることがわかった。これらの変化は、Pr3+の5d準位から伝導帯へ移行する熱活性によるプロセスに違いが現れる可能性があると考えた。
水素添加後におけるZn添加YGG、Zn添加YAGGでの励起スペクトルのPr3+の4f-5d吸収強度はほとんど変化しないが、ホスト吸収の波長領域では大きくなることがわかった。このことは、水素または酸素空孔に由来する欠陥準位がホスト吸収またはその後の緩和の過程に影響していると考えた。この傾向は励起スペクトルの受光波長が異なっても同様であるが、YGGの場合に1D2を始準位とする発光の場合には4f-5d吸収による発光も僅かに強くなることがわかった。
YGG中の酸素空孔および水素まわりの構造について第一原理計算から調べ、その安定性を評価した。YGG中の水素は存在状態が知られていないため複数の候補を検討し安定位置について詳しく調べた。それぞれがバンドギャップ近傍に形成する欠陥準位についても評価した。水素の場合は伝導帯の下端近傍に、酸素空孔の場合は比較的伝導帯から離れたエネルギー位置に準位を形成することがわかった。このことがPr3+の遷移へ与える影響について調べることを検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度の進捗状況に加えて、Zn添加Y3Ga5O12、Zn添加Y3Al2Ga3O12におけるPr3+の4f-5d吸収やホスト吸収による発光への水素や酸素空孔の影響について実験結果やそれに基づく機構の検討が進みつつあるため進捗状況を改善しているが、電子状態計算から得られた欠陥準位と実験結果の関係やこれまでに得られた他の物質系での結果との比較を行った総合的な評価が十分にできていないことから進捗状況は十分ではないと考えている。

今後の研究の推進方策

これまでの進め方に引き続き、Zn添加Y3Ga5O12、Zn添加Y3Al2Ga3O12におけるPr3+の発光・励起スペクトル測定結果および第一原理計算による欠陥準位の結果から水素、酸素空孔の影響についてその過程のモデルの構築について検討する。
欠陥準位の働きについて温度依存性にも注目したため、ホストによる遷移スペクトルの温度依存性の違いなどを調べるために、これまでに水素含有試料で測定して水素、酸素欠陥の効果を調べてきたペロブスカイト型酸化物、パイロクロア型酸化物を例にとってホスト組成、ホストと希土類イオンの組み合わせによる遷移スペクトルの温度依存性の違いについて調べる。

次年度使用額が生じた理由

外部施設利用において測定予定であったが実験計画の変更と感染予防の観点から施設利用を一部控えたために予算執行に変更が生じた。また、学会発表の予定の一部を次年度へ変更した。研究計画は遅れがあるものの進展しており、物品・消耗品の購入と成果発表での支出を予定している。

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公開日: 2022-12-28  

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