Pd触媒をコーティングしていないV膜が水素を透過する反応機構を解明するために、水素透過反応中に生じる表面V種の変化を調査した。酸化・還元処理直後の膜表面のV0 + / V2p3 / 2の割合は約2%であり、V3 +の量がV4 +よりも多い。表面のV種組成のこの微妙なバランスがPdコーティングフリーV膜の高い水素透過能に寄与していることを明らかにした。酸化・還元処理された膜表面のV種は、長時間の水素透過試験中にV3 +がV4 +に酸化されることにより、V3 + <V4 +に変化する。このようなV種組成のバランスの喪失が水素透過能の低下の原因であると考えられる。
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