研究課題/領域番号 |
18K04767
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉年 規治 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (60586494)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 無容器凝固 / 急冷凝固 / アモルファス / 軟磁気特性 |
研究実績の概要 |
ドロップチューブ法による急冷凝固中の過冷却液滴に、意図的な強制核発生事象として「衝突基板上への溶湯滴下による衝撃」および「超音波照射による摂動」を加えることで、人為的にアモルファス母相中に高密度のナノ結晶核を均一分散(ナノヘテロ化)させることが可能かどうかを実験的に確かめるために、衝突基板および超音波照射機構を新たに設計開発し、ドロップチューブ装置内部に設置した。衝撃を与える温度領域については、核発生頻度の最大となる温度直上領域を想定し、各種熱分析法などを用いて核発生頻度の温度依存性をシミュレーションにより算出した。また、超音波照射については照射する際の液滴温度で、アモルファス相の単原子振動の振動数を明らかにし、照射条件を検討した。これらの種々条件下で、「衝突基板上への溶湯滴下による衝撃」および「超音波照射による摂動」を加えた、粒径約350~400ミクロンのFeSiBP系アモルファス合金の単分散粒子の作製に成功した。 さらに、得られた試料に対して構造解析(X線回折法、透過型電子顕微鏡)や各種熱分 析(DSC熱分析)を行うことにより、内部組織に与える影響について詳細に検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに強制核発生機構の開発・設置およびそれらの実験条件の検討を行うことができ、単分散粒子の作製に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
FeSiBP系アモルファス合金の単分散粒子の内部組織構造のさらなる詳細な解析(TEM・XRD・DSCなど)を進めると共に単粒子を用いた磁気特性評価を進め、強制核発生の効果について調査を行う。また、Cu元素を添加した場合についても同様の調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
無容器凝固実験装置内部に設置を予定していた2つの強制核発生機構(「衝突基板上への溶湯滴下による衝撃」および「超音波照射による摂動」)は共用して使用できる部材が多かったため、それらの共通使用を行うことにより、物品費を抑えることができた。一方で、当初予定していた装置以外でも、強制核発生機構の導入により、組織制御できる可能性があることが予想されるため、それらに設置できる機構を次年度以降に行う予定である。
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