研究実績の概要 |
極端紫外光を被加工物表面に照射し表面を削り取るアブレーションについて研究した。極端紫外光は,パルス幅が10ナノ秒のレーザー光をターゲット材料に集光照射し, プラズマをパルス的に発生した. このプラズマから輻射される波長10 nm 前後の光(極端紫外光)を集光光学系を用いて被加工物に照射した. 従来の中赤外から紫外のレーザーを用いた加工と比較し、波長が短いためアスペクト比が高い加工が期待できる。また、光子エネルギーが大きいため、熱溶融、キャリアー拡散、表面に発生したプラズマによるエッチングなどによる加工形状の劣化を抑止できる可能性がある。ただし、プラズマからはほぼ等方的に極端紫外光が輻射されるため、そのままではアスペクト比が高い構造の加工には向かない。また、極端紫外光によるアブレーション現象の理解は、十分には進んでいなかった。本研究では、ナノ秒レーザープラズマ極端紫外光のビームプロファイルを制御し、高アスペク比加工を含めた精密加工を目指した。そのために、数値計算により、被加工物近傍に近接マスクを設置した場合の光の伝搬を求めた。また、集光光学系、マスク形状の設計を行い、指向性が高い極端紫外ビームを被加工物に照射する装置を開発した。これにより、シリコーンゴム(ポリジメチルシロキサン)を加工し、高アスペクト精密加工が可能であることを、実験的に示した。また、極端紫外光によりアブレーション現象を明らかにするため、SEM画像から3次元構造を解析した。これにより、極端紫外光を吸収した後熱エネルギーに変わりアブレーションが起きる効果よりも、結合の切断の効果が大きいことを示唆する精密加工に有用な加工特性を見出した。極端紫外光が高い光子エネルギー持つため光電子放出が起き,残ったイオンのクーロン爆発によりアブレーションが起きることが示唆される。
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