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2019 年度 実施状況報告書

接触加熱を用いた時効硬化アルミニウム合金板の溶体化レスホットスタンピングの開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K04772
研究機関横浜国立大学

研究代表者

前野 智美  横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (80505397)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードアルミニウム合金 / 7000系 / ホットスタンピング / プレス成形 / 深絞り / 人工時効
研究実績の概要

R1年度は,人口時効材(T6)をブランクとする短時間接触加熱ホットスタンピングにおいて,円筒深絞り成形における限界絞り比,潤滑剤有無が成形性に及ぼす影響,板材引抜きによる摩擦特性,短時間加熱された材料の曲げ疲労特性,短時間加熱中の変形抵抗,析出物の形状変化についての観察を行った.また,成形後のスプリングバックおよび残留応力を小さくするために,自然時効材(T4)材および過時効材(T7相当材)をブランクとする短時間接触加熱ホットスタンピングの開発を行った.さらに,T6材をブランクとし,成形時の加熱温度を増加させて成形後にT7相当になるホットスタンピングの検討も行った.
T6材のホットスタンピングにおける限界深絞り比は200℃において1.8程度となった.潤滑剤の有無で限界絞り比の変化はなかった.競合となる成形方法であるHFQ(溶体化処理温度のホットスタンピング)およびWテンパ成形(溶体化処理直後に成形)と比較した結果,無潤滑における限界絞り比は本手法が最も良好となった.板材引抜きを用いた摩擦試験を行った結果,短時間加熱200℃における摩擦係数は0.4程度となった.また,皮膜処理なしの金型ではわずかな焼付きが生じたが,DLCコーティングによって焼付きが抑制された.短時間加熱された材料の疲労強度は,受入れ材との差はほとんど生じなかった.T6材をブランクとし,成形後にT7材相当になるホットスタンピングでは加熱温度を230~250°Cとすることで限界深絞り比を1.9に向上させることができた.
T4材およびT7相当材料をブランクとした場合,T4材では成形後に人工時効が必要となるが,スプリングバックおよび残留応力を低減できた.一方,T7相当材料では残留応力を低減することができたが,焼付きが生じやすく,無潤滑の限界絞り比は冷間成形と同程度であった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

理由
申請時の計画における検討事項について概ね明らかにすることができた.また,検討内容についても当初計画以外の方法や調査項目について検討することができ
た.
当初予定のR2年度の取組内容である,摩擦および凝着についての検討に取掛かることができた.また,当初予定のなかった疲労強度についての検討を行った.ブランク材の調質状態を人工時効材に限定することなく,自然時効材,過時効材についても検討を行うことができた.
一方で,自動車部品のミニチュア部品での検討を計画していたが,得られる知見が一般化しやすい円筒深絞りに限定しての調査にとどまっている.

今後の研究の推進方策

ブランク材の調質をT6,T4,T7と検討した結果,深絞り成形の成形限界に及ぼす摩擦の影響が顕著である傾向が見られた.また,本研究の関連研究として非熱処理型アルミニウムの短時間加熱ホットスタンピングを検討した結果,加熱時間で焼付きの生じ方に大きな差が見られた.R1年度においてT6材の短時間加熱(200℃)における摩擦特性について検討しているが,さらに深堀することを検討している.そこで,摩擦に及ぼす初期材の調質状態加熱時間が及ぼす影響や潤滑剤有無で連続の摩擦試験を行った際の焼付き挙動などについて調査する予定である.
T6材をブランクとし,成形後にT7材にするホットスタンピングでは応力腐食割れに対して有効となる可能性がある.成形後の応力腐食割れ耐性などを検討する.
スケール効果の有無を調査するために,遅れている自動車部品のミニチュア部品での成形性検討を行い,実用化に対する問題について検討を行う.

次年度使用額が生じた理由

作成予定の金型に関して,別の研究で使用していた型の修正で済んだため.
繰り越した予算は実験効率向上のために素材加熱用のホットプレート購入にあてる.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 熱処理型アルミニウム合金のホットスタンピング2019

    • 著者名/発表者名
      前野 智美
    • 学会等名
      日本塑性加工学会 残留応力研究部会
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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