研究課題/領域番号 |
18K04773
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
柴柳 敏哉 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 教授 (10187411)
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研究分担者 |
山根 岳志 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 助教 (60272895)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アルミニウム / PET樹脂 / 円盤 / アンカー効果 / シールドガス / 引張試験 |
研究実績の概要 |
円盤摩擦接合装置を用いて、アルミニウムとPET樹脂の接合、純アルミニウム同士の接合、のそれぞれに成功した。Al/PET異材接合については、継手界面に凹凸が現れ、ここに樹脂が入り込むことでアンカー効果が発現するという機構であることを実証した。また、接合条件を最適化することで樹脂の強度の70%の継手強度を得ることにも成功した。 この接合接手において、金属側の材料組織をSEM-EBSD法にて解析したところ、界面近傍においてせん断変形と圧縮変形の影響を受けて微細化された結晶粒組織が存在することを明らかにした。これは、接合中の高温と塑性変形により出現した動的再結晶組織を基調として接合完了後にさらに加えられる圧縮荷重により得られた組織であると結論付けられた。 アルミニウム同士の接合においても凹凸界面構造を創り出すことができて、それによる機械的な結合ならびに金属同士の界面接合の2種類の接合モードが存在することを見出した。アルミニウムの場合は特に、アルゴン水素混合ガスによるガスシールドが接合強度を高めることに有効であることを継手の引張試験より明らかにした。 円盤の形状についても新しい知見を得た。すなわち、表面凹凸の他に、外縁部に切り欠きあるいは小さな孔を設けることで接合界面凹凸の複雑さを増すことができることを発見した。これは、ファスナーのような構造の接合界面を創り出すのが本接合法の特徴であるが、その原因究明の端緒を開くデータである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
円盤摩擦接合装置の機能向上を目的とした改造が予定通り進んでおり、還元雰囲気での接合ができるようになった。これを受けて、アルミニウム同士の接合に成功し、雰囲気制御の効果も実証できた。樹脂と金属の接合は想定以上の継手強度を得ることに成功し、その意味においては当初の目的は達成されたと判断している。円盤の表面性状の設計指針についても摩擦係数と凹凸付与の2つの機能を同時に発現させる観点での設計が進んでおり、特に小孔加工の効果が大きいことを見出したことは今後の展開につながるものと考えている。これらの基礎データをもとに、当該接合技術の産業応用に向けた次の段階の研究活動を最終年度に実施することができる。
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今後の研究の推進方策 |
1.異種材料の接合として、チタンとアルミニウム、マグネシウムとアルミニウム、ならびに樹脂とアルミニウムの継手作成に最適な接合条件を実験的に明らかにする。 2.異種金属界面組織の熱的安定性を実験的に明らかにする。 特に、界面反応生成物の同定、ならびに反応速度論的観点での組織変化過程の定式化により熱的信頼性の高い継手を得るための界面制御指針を得る。 3.円盤性状の最適化を目指して、材質ならびに表面コーティング材の選定を行う。
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