潤滑油を用いた塑性加工における摩擦法則の定式化を行った。潤滑油は接触圧力の低い領域では油圧は発生しないが、その後接触圧力の増加に伴い急増する。加工後の摩擦面の観測結果に基づいて潤滑油の密閉プールの面積比を見積もり、密閉プール内の油圧は変形抵抗に相当する接触圧力付近で最大値に達する。これらの結果に基づいて、潤滑油の圧力分担比を定義し、摩擦法則を定式化した。また、摩擦法則に及ぼす被加工材表面の摩擦履歴、被加工材材質および予ひずみの影響を調べ、これらの因子の影響はほとんどないことを確認した。確立した摩擦法則を有限要素解析コードに導入し、塑性加工のシミュレーションに広く活用できるようにした。
|