本研究の新しい展開として,レーザプラズマ加速器のキーパーツとなるレーザガイド(サファイア製キャピラリ)を製作するため,二つの要素技術〈フェムト秒レーザによる高能率・迅速プリフォーミング〉,〈微細多結晶ダイヤモンド(PCD)ミーリング加工による高品位・高精度仕上げ〉 によるプロセスチェーン開発を実行した.ここで,PCD/NPD工具による超精密加工に対し,プラズマ援用クーラントの適用を引き続き試みた.とくに,サファイアの超精密ミーリングにおいて,被加工物/工具/チップとプラズマ活性種との化学反応を精緻に制御するとともに,加工面/工具面の詳細な化学分析を通じて,プラズマの機能発現メカニズムを解明することを目的として鋭意実験を進めた.さらに,ダイヤモンド工具のレーザ成形プロセス開発において,将来の先進ダイヤモンド工具の更なるニーズ拡大を見据え,平均出力100Wのフェムト秒レーザへと本プロセスを移行するためのシステム構築を試行した.一方,プラズマ援用技術の応用展開として,大気圧低温プラズマ援用レーザ表面改質処理の実現可能性について探るため,新たに専用装置を製作した.プラズマ発生方式としては,グライディングアーク放電に代わり,誘電体バリア放電方式を採用し,バリア放電中の石英管の内部をレーザ光が通過しターゲットに照射する仕組みとした.レーザヘッドとターゲットの間隔は10㎝であり,その経路にプラズマ発生ノズルを設置する必要があるため,極力コンパクトなノズルの設計・製作を行った.窒素ガスプラズマを用いた基礎実験結果より,チタン合金表面にナノスケールのテクスチャを形成(LIPPS構造)できている.今後は,得られた表面のトライボロジー特性や生体適合性評価を実施する.
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