研究課題/領域番号 |
18K04789
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター |
研究代表者 |
紋川 亮 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部技術開発支援部3Dものづくりセクター, 上席研究員 (10399397)
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研究分担者 |
瀧本 悠貴 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部技術開発支援部3Dものづくりセクター, 副主任研究員 (80733758)
永田 晃基 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第一部電気電子技術グループ, 副主任研究員 (40733754)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 局在プラズモン共鳴 / インフルエンザウイルス / 金ナノパターンチップ |
研究実績の概要 |
高病原性トリインフルエンザウイルス(H5N1)は、致死率が70%台と非常に高いため、感染拡大を抑制する対策の構築が喫緊の課題である。本研究の目的は、感染抑制対策として有効な、超高感度インフルエンザ簡易検査チップを開発することにある。これまでの研究の結果、新規開発した金ナノドットパターンチップにより、約10個程度のインフルエンザウイルスの検出と亜型の識別に成功している。本研究では、インフルエンザ簡易検査システムを実現させるために、UVナノインプリント法を用いて、これまで量産化が困難であった金ナノドットパターンチップ(LSPRチップ)の量産化システムを構築することを目標としている。 量産化の課題は、レジストパターンにAu/Si成膜後、レジストのみを除去する方法にあった。本課題を解決するため、いくつかのレジスト除去方法を検討した。UVナノインプリントによる金ナノパターン作製法を以下に示す。(1)石英基板にレジストを塗布後、UVナノインプリント法によりホールパターンを作製した。(2)作製したホールパターンにAu/Siを成膜し、レジストを除去することにより金ナノパターンを形成させた。 本手法の課題である、レジスト除去方法を以下に示す。UVレジストは硬化した後でも、30% KOH水溶液で溶かすことができるため、その溶液を用いたAu/Si成膜チップのリフトオフ条件を検討した。この結果、チップをホットプレート上で加熱した後、30% KOH水溶液中で30分間超音波処理することで、再現性と量産性に優れたLSPRチップの作製方法を確立できた。これにより、従来のUVナノインプリントの課題であった金ナノパターン量産化の課題の一つを解決することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
UVナノインプリント法での金ナノパターン作製において課題であったレジストの除去方法を確立しており、スムーズな量産化が可能となっている。特段の遅れは生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
最終年は、より簡便かつ量産性に優れた金ナノパターン作成方法を検討する。具体的な方法を以下に示す。最初にドット高が均一である金ナノドットパターンシートを作製し、そのシートを石英基板に加熱・加圧転写することで、金ナノドットパターンを作製する。金は370℃以上でSi-Au共晶体を形成することや200℃以上で粒成長することが知られており、石英基板転写時に加圧・加熱転写することで、金と石英基板との密着性の向上および金ナノドットパターン高の均一化が可能であると期待している。この方法において、AU成膜後のAU残膜処理が課題となるが、その方法として化学機械研磨(CMP)を検討する。専用装置を利用することにより、金ナノドットパターンシートの作製が可能になると期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、購入を予定していた分光器等は予算の減額により、購入することができなくなった。そのため、基板の観察に必要なSPM装置のオプションを購入し、研究の推進を図ることとした。
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