研究課題/領域番号 |
18K04793
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研究機関 | 兵庫県立工業技術センター |
研究代表者 |
柴原 正文 兵庫県立工業技術センター, その他部局等, 主席研究員 (80470219)
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研究分担者 |
大久保 雄司 大阪大学, 工学研究科, 助教 (10525786)
本田 幸司 兵庫県立工業技術センター, その他部局等, 主任研究員 (20553085)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 酸化チタン / 表面改質 / 大気圧プラズマ / 光触媒 / 可視光応答性 |
研究実績の概要 |
本研究では、環境に優しくクリーンかつ安定供給の持続が可能なエネルギー変換材料として注目を集めている半導体光触媒、特に酸化チタンに表面改質を施して高効率な可視光応答性光触媒が発現させる事を目的とする。高圧・高密度のヘリウムプラズマジェットを照射して酸化チタンに微細な表面構造を創製し、さらに水素プラズマを照射して表面改質を施す事で酸素欠損型光触媒が創製されると考えられる。本年度は、アーク放電式大気圧プラズマジェット照射装置に、反応ガス供給ポートとプラズマジェット照射直下を高温化するハロゲンランプ光源を追加設置して表面改質の環境を創製する計画だった。しかし、当該装置が入手困難なため、代替えとして既存のチャンバー方式大気圧プラズマ発生装置の活用に変更した。装置内プラズマ中で励起発生する中性ラジカル種を試料表面へ大量に引き寄せるためにバイアス電圧を試料台に印加するとともに、電気ヒータ加熱源を試料台に内蔵して中性ラジカル種の試料内部への熱拡散性を高める事で、当初計画と同等の表面改質効果が得られるように装置構成の設計・作製を検討した。その中で、酸化チタンに酸素欠損を起こす高圧・高密度のヘリウムプラズマを発生させるには、プラズマ発生電極は既設電極を取り外しガス流れ制御が容易な平行平板型電極を新規作製する。酸化チタン材料は絶縁物であるため、バイアス電圧を印加してプラズマ中の正イオンを引き寄せる必要があると結論づけた。ただし、通常の直流の負バイアスでは絶縁物のチャージアップにより効果がすぐに消滅してしまうので、高周波(13.56MHz)バイアスが適すると考えて印加できる機能を試料台に装備する事とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本事業費内で目的を達成するため、アーク放電式大気圧プラズマジェット照射装置の代替えとして、既存のチャンバー方式大気圧プラズマ発生装置の活用に変更した。そのため、装置内プラズマ中で励起発生する中性ラジカル種を試料表面へ大量に引き寄せるバイアス電圧を試料台に印加するとともに、中性ラジカル種の試料内部への熱拡散性を高める電気ヒータ加熱源を試料台に内蔵する装置構成の設計・作製を検討する必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
考案した装置を活用すれば、酸化チタン表面に微細構造を創製し、さらに水素プラズマ処理による酸素欠損型光触媒の作製が可能になると考える。そこで、酸化チタンの表面改質条件に関する最適化を行って、可視光応答光触媒反応の発現を確認する。検討項目としては、酸化チタンの実験試料(金属チタンの酸化処理被膜の結晶性試料、アナターゼ型酸化チタン微粒子ゲル被膜の非結晶性試料)、プラズマの発生条件(高電圧値、パルス周波数、反応ガス種類、ガス流量、バイアス条件)、ガス供給方法を検討する。また、評価指標には、表面分析(XPS分析、XRD分析)、表面観察(SEM観察、TEM観察、AFM測定)の他、光触媒用光源を用いたメチレンブルー判定や揮発性有機化合物の除去量分析を行って光触媒作用の発現を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本事業費内で目的を達成するため、アーク放電式大気圧プラズマジェット照射装置の代替えとして、既存のチャンバー方式大気圧プラズマ発生装置の活用に変更した。そのため、装置内プラズマ中で励起発生する中性ラジカル種を試料表面へ大量に引き寄せるバイアス電圧を試料台に印加するとともに、中性ラジカル種の試料内部への熱拡散性を高める電気ヒータ加熱源を試料台に内蔵する装置構成の設計・作製を検討する必要があった。考案した装置を活用すれば、酸化チタン表面に微細構造を創製し、さらに水素プラズマ処理による酸素欠損型光触媒の作製が可能になると考える。そこで、酸化チタンの表面改質条件に関する最適化を行って、可視光応答光触媒反応の発現を確認していく。
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