研究課題/領域番号 |
18K04797
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
横山 誠二 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60191524)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 電気炉ダスト / 酸化亜鉛 / 亜鉛フェライト / 亜クロム酸亜鉛 / 飽和溶解度 / 過マンガン酸カリウム |
研究実績の概要 |
電気炉ダスト中の亜鉛は、酸化亜鉛(ZnO)、亜鉛フェライト(ZnOFe2O3)、亜クロム酸亜鉛(ZnOCr2O3)、およびケイ酸亜鉛、硫化亜鉛として存在する。本研究は、それらの硫酸水溶液への溶解度を測定し、電気炉ダストからの亜鉛の湿式回収プロセスを確立することを目的とする。ここで、電気炉ダスト中には亜クロム酸亜鉛単体ではなく、亜鉛フェライトにクロムが固溶した形で存在している。 実験は所定の硫酸濃度の水溶液に、これら試料を数mgずつ添加し、所定温度に保持して行った。最終的に試料を添加した時点から2週間で溶解平衡に到達した。 これまでに、酸化亜鉛、亜鉛フェライト、亜クロム酸亜鉛(試験中)の硫酸水溶液への溶解度を測定した。酸化亜鉛、亜鉛フェライトおよび亜クロム酸亜鉛の最大の溶解度は、それぞれ2270g/L(20℃,初期硫酸濃度3.15mol/L)、29.5g/L(80℃、初期硫酸濃度5.49mol/L)および0.005g/L(60℃、初期硫酸濃度0.018mol/L)であった。 従来、ダストからの亜鉛の抽出率が低い原因は亜鉛フェライトが難溶性であることとされてきた。本研究結果より、電気炉ダストからの亜鉛の抽出率が低い原因は、亜クロム酸亜鉛の低溶解度であると思われる。そこで、亜クロム酸亜鉛を酸化し、6価のクロムにして硫酸溶液への溶解を促進することにした。酸化剤には、硝酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウムおよび過マンガン酸カリウムを用いた。亜クロム酸亜鉛は、硝酸および過マンガン酸カリムによって酸化され、亜鉛の硫酸水溶液への抽出率はそれぞれ、10%および94%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
亜クロム酸亜鉛の溶解度測定、および過マンガン酸による亜鉛の溶解促進の研究は、容器材質に影響され、まだ未確定なところもあり、実験などを継続する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
ダストに含まれる亜鉛化合物のうち、まだ試験していないケイ酸亜鉛、硫化亜鉛の溶解度を測定する。また、亜クロム酸亜鉛の溶解度測定、酸化剤によるその溶解促進についてさらに研究する。これらの結果を基に、電気炉ダストからの亜鉛の回収プロセスを設計する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会への旅費の予定額と実際の金額が異なっていたために、次年度使用額が発生した。この使用額は、次年度の旅費や消耗品費に充当する。
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