研究課題/領域番号 |
18K04800
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
渡利 久規 東京電機大学, 理工学部, 教授 (90210971)
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研究分担者 |
羽賀 俊雄 大阪工業大学, 工学部, 教授 (00212134)
鈴木 真由美 富山県立大学, 工学部, 教授 (20292245)
山崎 敬則 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (80342476)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 急冷凝固 / 高濃度Al含有マグネシウム合金 / クラッド材 / 金属間化合物 / 双ロール法 / 熱間鍛造 / 接合 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,高濃度のアルミニウムを含有したマグネシウム合金を皮材とした革新的軽量クラッド材料を製造すること、およびその成形を行い、最終的には研究で開発した革新的軽量マグネシウム合金クラッド材の熱間鍛造まで行うことを目的としている。今年度は,クラッド材の皮材となるマグネシウム合金(AM系Mg合金)の製造実験に加えて、得られた高強度マグネシウム合金の基材の接合実験を行っている.以下のことを明らかにした. (1)高濃度アルミニウムを含有AM系の高濃度Al含有マグネシウム合金の双ロール鋳造実験を行い,クラッドの皮材となるアルミニウム含有量10%以上の各種マグネシウム合金の各製造条件における凝固点の推定,固相率分布,冷却速度の推定を行なった.実際の実験と解析の結果を比較しその妥当性を検証した. (2)幅150mmのAl/Mg合金クラッドの皮材となるAM100の製造実験を行い,幅150mm、板厚5mm~6mmの板材をロール周速度8m/min,で連続鋳造できることを明らかにした. (3)アルミニウム合金A1050(基材)とAM系マグネシウム合金(皮材)の両方の溶湯から直接的に、Al/Mg合金クラッドを1工程で製造するクラッド製造実験を行なった.その結果,ロール周速度8m/min,見かけの圧下力を15%以上の場合に,AM100/A1050合金のクラッド材を一工程で連続鋳造できることを明らかにした. (4)急冷凝固した高アルミニウム含有マグネシウム合金AM100の金属間化合物について結晶組織の観察を行った.粒内および粒界には微細なMg17Al12の析出を確認した.金属間化合物は,凝固時に連続析出および不連続析出したものであることを確認しているが,これら金属間化合物は溶体化処理することで母相であるMg相内部に固溶することを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 本課題では,高濃度Alを含有したMg合金とAl合金からなる革新的軽量Mg合金クラッド材の製造を目指している。今年度はAM系マグネシウム合金と(AM100)とアルミニウム合金(A1050)のクラッド材の製造実験を行い,目標とする革新的軽量Mg合金クラッド材を製造することができた.以下に示すように85%以上は予定の目標達成率であり、予定どおりに進捗していると判断した.(1)幅150mm, 厚さ15mmのAZ系およびAM系マグネシウム合金の厚板を急冷凝固法のひとつである双ロール法によって製造可能な条件を見つけた. (2)得られた革新的軽量Mg合金クラッド材の基材の機械的性質を調査した.AZ系の高アルミニウム含有Mg合金については,アルミウム含有量を11.5%以上にすることで,250MPa以上の0.2%耐力が得られる.(3)急冷凝固した高アルミニウム含有マグネシウム合金AM100の金属間化合物は,粒界だけでなく粒内にも微細析出物が析出する場合と粗大な析出物が析出する場合がある.粒内に析出するMg17Al12の連続析出物を利用することで、変形の初期における動的再結晶粒の生成サイトとしての役割を果たすことができる.(4)AM100/A1050クラッド材の製造実験においては、ロール周速8m/minでAM100およびAl1050の液相腺温度より5℃~10℃で注湯を開始し,見かけの圧下率を15%以上かけることで接合強度の高いAM100/A1050クラッド材を得ることができた.(5)AM100/A1050クラッド材の接合界面では見かけの圧下率が20%の場合混合層は68μmの厚さとなり,Al側の最も硬い箇所で200HVであった.また引張せん断試験の結果40MPaで二つの金属が剥離した.
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今後の研究の推進方策 |
高濃度Alを含有したMg合金とAl合金からなる革新的軽量Mg合金クラッド材の製造を目指している.今年度は,AM100/A1050クラッド材の製造実験を遂行し,ロール周速8m/minでAM100およびAl1050の液相腺温度より5℃~10℃で注湯を開始し,見かけの厚下率を15%以上かけることで、合強度の高いAM100/A1050クラッド材を得ることが可能であることを確認している.また、接合時の冷却速度は,923K/s~1273K/s程度であり,MgとAlの金属間化合物は粒内および粒界に微細に分散する形で析出する.今後は微細な結晶粒を有する高濃度Al含有マグネシウム合金を基材として,Al/Mgの二層軽量クラッド材料を1台のロールキャスターで製造する実験を行い,このプロセスで得られた,Al/高濃度Al含有マグネシウム合金クラッド材の界面での接合の状態,金属間化合物の分布形態,接合強度の関係性を明らかにしていく.実験では本プロセスにおいて製造されたクラッド材の界面のせん断応力をせん断応力50MPa以上を満足できるかどうかを含めて,界面の接合の状況の関係と界面における金属間化合物の分布の関係を明らかにすることでクラッド材料としての健全性を客観的に評価する予定である.最終的には、クラッド材としての熱間成形性を確認するために、クラッド材の熱間深絞り試験および熱間鍛造試験を行い、本法で得られた高濃度Alを含有Mg合金とAl合金からなる革新的軽量Mg合金クラッド材の成形性の評価を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
計測実験において購入を予定していた熱電対であるが、実際には温度計測の必要がないと判断したため,翌年度のノズルのプレート購入にあてることとした(金額17433円).
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