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2018 年度 実施状況報告書

CO2塗装法における環境適合溶剤選定法開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K04803
研究機関東北大学

研究代表者

佐藤 善之  東北大学, 工学研究科, 准教授 (50243598)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードviscosity / gas expanded liquid / polymer solution
研究実績の概要

高圧CO2を希釈溶剤の代替として用いるCO2塗装技術はVOC削減、乾燥エネルギーの低減が可能であるなど、魅力的な技術である。しかしながら真溶剤の選定によっては問題が生じることが知られており、本研究では塗膜の品質にかかわる塗料の粘度に関して、塗料+CO2混合時の粘度を評価し、塗料に使用される真溶剤の最適化を図ることを目的とする。
本年度は、高圧CO2を含む溶液系に適用可能な粘度測定装置の開発を中心に研究を進めた。石英ガラス製の管と球からなる転落球型粘度計を開発し、水を用いて粘度計を校正した。この結果を基に信頼できる文献値が多く報告されているトルエンの粘度を測定したところ、文献値と0.66%の平均偏差で一致していることがわかり、装置の健全性が確認できた。本装置を用いて、メタノール+CO2系、エタノール+CO2系のガス膨張液体の粘度、密度、沸点のCO2濃度依存性を測定した。両系ともCO2が飽和溶解した状態のみ密度と粘度の文献値が存在しており、エタノール系では本測定値は文献値と比較的良好な一致を示したが、メタノール系に関しては文献値が5~8%程度系統的に高い粘度を示していることが分かった。しかしながら本研究で得られた大気圧での純エタノールの粘度は、信頼できる文献値と1%で一致していた。さらに、既存の自由体積モデルを用い、純物質の粘度データを相関することでモデルのパラメータを決定し、混合側を用いることで比較的良好な精度でCO2混合系の粘度推算が可能であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、高圧CO2を含む溶液系に適用可能な粘度測定装置の開発を中心に研究を進めた。石英ガラス製の管と球からなる転落球型粘度計を開発し、期待した通りの性能を発揮することが確認できたため、おおむね順調に進展と判断した。

今後の研究の推進方策

粘度計の開発が順調に進んでおり、今後はポリマー溶液に対する粘度へのCO2添加効果について検討する。ポリマーに関してはpolymethylmethacrylateやpolyacrylonitrileなどを予定している。これらのポリマーに対し各種の溶媒に対する溶解性を試験し、ポリマーの溶解度パラメータ(HSP)やpartial solvation parameter(PSP)を決定するとともに、ポリマー溶液の粘度を測定し、HSPやPSPに対する粘度の影響を検討する。さらにCO2の添加により粘度挙動がどのように変化するかを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

今年度、粘度測定に欠かせない高精度なサーモメーターを計上したが、別予算で既存の温度基準器の再校正を行うことができたため、安価なサーモメーターを定期的に比較校正することで、温度測定精度の維持が可能となった。このため高精度なサーモメーターの導入を見送った。
ポリマー溶液の大気圧での粘度測定を可能とする装置を導入することを検討している。粘度と溶媒のパラメータの関係を迅速に明らかにすることができれば、研究をより促進することが可能となる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Development of a rolling ball viscometer for simultaneous measurement of viscosity, density, bubble-point pressure of CO2-expanded liquids2019

    • 著者名/発表者名
      Yoshiyuki Sato, Hiroki Baba, Chisato Yoneyama, Hiroshi Inomata
    • 雑誌名

      Fluid Phase Equilibria

      巻: 487 ページ: 71-75

    • DOI

      10.1016/j.fluid.2019.01.017

    • 査読あり
  • [学会発表] ガス膨張液体用粘度計の開発とCO2+メタノール系の粘度・密度・沸点圧力の測定2019

    • 著者名/発表者名
      佐藤 善之,米山 知里,猪股 宏
    • 学会等名
      化学工学会第84年会
  • [学会発表] Development a new rolling ball viscometer for CO2 expanded liquids2018

    • 著者名/発表者名
      Yoshiyuki Sato, Hiroki Baba, Chisato Yoneyama, Hiroshi Inomata
    • 学会等名
      8th International Symposium on Molecular Thermodynamics and Molecular Simulation (MTMS'18)
    • 国際学会
  • [学会発表] ガス膨張液体用転落球型粘度計の開発2018

    • 著者名/発表者名
      佐藤善之,米山知里,馬場啓生, 猪股宏
    • 学会等名
      第39回日本熱物性シンポジウム

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公開日: 2019-12-27  

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