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2018 年度 実施状況報告書

ナノ相分離を利用した新規NF/RO膜の創生

研究課題

研究課題/領域番号 18K04811
研究機関神戸大学

研究代表者

新谷 卓司  神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 特命教授 (90607574)

研究分担者 佐々木 雄史  神戸大学, 工学研究科, 学術研究員 (60821618)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード液晶性ブロックコポリマー / 自己組織化 / ミクロ層分離 / 六方晶 / 光架橋反応 / 多孔度 / 分離膜
研究実績の概要

ブロックコポリマー(BCP)の自己組織化によるミクロ相分離を利用した分離膜が注目されている.本研究では,親水性であるポリエチレンオキシド(PEO)と側鎖に液晶性メソゲンであるスチルベン(Stb)が付いた疎水性ポリメタクリレート(PMA)からなる液晶性ブロックコポリマーを用いた分離膜の作製を試みた.このポリマーはPEOがシリンダー構造を形成しその周囲をPMAが取り囲み,スチルベンはスメクティック配向を示すことで,シリンダー構造がより安定化する.また,スチルベンは紫外光を照射することで光架橋反応を起こすことが知られており膜の強度の増加が期待できる.
1.作製したBCP膜のAFM位相像より細孔径10nm程度のシリンダーが六方晶に配位した規則構造が観測された.この位相像から多孔度を算出すると19.7%となった.市販膜のトラックエッチイング膜は多孔度1.2%であることから,細孔径が均一かつ高い多孔度を有する膜の作製に成功した.膜への紫外光照射によりスチルベンの二重結合由来のピークが減少していることから,光架橋反応が進んでいることが示された.また,水の透過性評価を実施したところ水の透過を確認することができた.
2.PEO90-b-PMA(Stb)を用いて作製した膜のAFM位相像よりミクロ相分離による六方格子状に規則配列したPEOシリンダーが確認された.また,AFM位相像の画像解析より算出したPEOシリンダーの直径及び周期は,PEOの重合度が226の場合においてシリンダーの直径が最も大きくなった.以上よりポリマーの組成を制御することで,任意の細孔径を有する膜の設計が可能であることが示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度はブロックコポリマー(BCP)の合成と自己組織化によるミクロ層分離を利用した薄膜形成とその構造観察を行った.結果,膜のAFM位相像より細孔径10nm程度のシリンダーが六方晶に配位した規則構造が観測された.また、膜への紫外光照射により光架橋反応が進み水の透過も確認することができた.一方,AFM位相像の画像解析より算出したPEOシリンダーの直径及び周期は,PEOやPMAの重合度に一部依存することが確認されポリマーの組成を制御することで,任意の細孔径を有する膜の設計が可能であることが示唆された.このように当初の目的は十分達成されており,また透過性能評価など次年度の実施計画も一部すでに進められていることから,おおむね順調に進展していると判断できる.

今後の研究の推進方策

本研究ではブロックコポリマー(BCP)の自己組織化によるミクロ相分離を利用した分離膜を作成する際に,孔径サイズや周期を自在に制御することが求められその可能性が見いだされた.しかしながら,これらが分離特性にどのように影響しているのかに加え,水系のみならず有機溶媒系での分離特性についての知見が求められている.次年度においては薄膜製膜検討に加え、分離特性評価系について中心に検討を進める.

次年度使用額が生じた理由

消耗品を購入した際に当初計画していた金額より安価に購入できたため.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 液晶性ブロックコポリマーによる新規分離膜の開発2019

    • 著者名/発表者名
      圓尾 有矢、佐々木 雄史、稲田 飛鳥、新谷 卓司、彌田 智一、松山 秀人
    • 学会等名
      第21回化学工学会学生発表会(京都大会)
  • [学会発表] 側鎖型液晶性ブロックコポリマーのミクロ相分離構造を利用したナノ多孔膜の細孔径制御2019

    • 著者名/発表者名
      村田 裕紀、佐々木 雄史、稲田 飛鳥、新谷 卓司、彌田 智一、松山 秀人
    • 学会等名
      第21回化学工学会学生発表会(京都大会)

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公開日: 2019-12-27  

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