研究課題/領域番号 |
18K04811
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
新谷 卓司 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 特命教授 (90607574)
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研究分担者 |
佐々木 雄史 神戸大学, 工学研究科, 学術研究員 (60821618)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 液晶ブロックコポリマー / 自己組織化 / ミクロ相分離 / 六方晶 / 光架橋反応 / 多孔度 / 分離膜 |
研究実績の概要 |
自己組織化材料であるブロックコポリマー(BCP)は新規分離膜として注目されている。BCPは、ミクロ相分離により規則的なシリンダー構造を形成することが知られており、シリンダー領域を水が透過するチャネルとすることで、高い透水性および分離性能を両立する分離膜としての応用が期待される。しかしながら、BCPのシリンダー構造の形成はポリマー組成比に依存するため、シリンダー径の制御可能範囲が狭く、分離対象が限定されることが課題である。そこで、新規膜材料として液晶性ブロックコポリマー(LCBCP)に注目してLCBCP膜を作製し、透水試験より膜性能を評価した。更に、LCBCP膜のさらなる透水性能向上のため、LCBCP膜の薄膜化およびイオン液体添加による透水チャネル内におけるポリマーの低密度化を検討した。ポリエチレンオキサイド(PEO)および側鎖に液晶(LC)メソゲンを有するポリメタクリレート(PMA)から構成されるPEO-b-PMA(LC)を水処理膜として応用した。 結果として、①透水性は1.49 L・m-2・h-1・bar-1であり、水が透過することが確認された。②膜厚が及ぼすミクロ相分離構造への影響を調査し、LCBCPが垂直なシリンダー構造を形成する膜厚は23 nm以上であることが示され、それ以下の膜厚では一部の垂直なシリンダー構造の結合が確認された。またこの傾向はLCBCP膜作製時における基板の親疎水性に影響しないことが明らかになった。③イオン液体添加による透水チャネル内のPEOの低密度化の検討を行った。製膜時におけるLCBCPに対するイオン液体の重量比(fIL)を変化させることで、シリンダー構造に及ぼす影響を検討した。結果として、シリンダー径はfILと比例関係にあり、fIL<0.15ではイオン液体がシリンダー内部に取り込まれることにより、PEOシリンダー径を変化させることが示された。
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