研究課題/領域番号 |
18K04829
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研究機関 | 沖縄工業高等専門学校 |
研究代表者 |
福村 卓也 沖縄工業高等専門学校, 生物資源工学科, 准教授 (50360326)
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研究分担者 |
佐藤 和久 一関工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30215769)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 擬似移動層 / 反応分離 / バイオディーゼル |
研究実績の概要 |
2019年度は触媒充填カラムの数をフレキシブルに調節できるソレノイドバルブ式の新たな擬似移動層方クロマト反応器の製作と、既存の10本反応カラム型で流路一括切替式の擬似移動層型クロマト反応器を用いたモノラウリンをモデル反応物とする連続反応分離実験を行った。 反応分離実験では、触媒として固体酸触媒である強酸性イオン交換樹脂Amberlyst 16(水素型)を用い、反応温度50℃、流路切替間隔260 s、原料流量0.12 mL/min、エキストラクト流量とラフィネート流量を1 mL/min前後とした条件を採用した。Amberlyst 16触媒によりモノラウリンがラフィネート側から溶出し、エキストラクト側から溶出する成分と期待されるグリセリンが観測されなかった。 擬似移動層方クロマト反応器の製作では、ソレノイドバルブ製作に実績のあるメーカーに複数のソレノイドバルブをユニット化した構造物を製作依頼した。また、このソレノイドバルブのオンオフコントロールのための制御ソフトも購入した。新たな擬似移動層型クロマト反応器は2019年度中に完成の予定であったが、制御用PCとソレノイドバルブの間をつなぐスイッチボックスの製作が2020年度に伸びたため、最終的なグリセリドのエステル交換反応とグリセリンのアセタール化の同時反応分離実験は最終年度に実施する予定である。ソレノイドバルブ式の擬似移動層型クロマト反応器は、流路一括切替式の装置と比較して流量の変動が少なくできると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初は流路一括切替式の擬似移動層型クロマト反応器の製作を依頼する企業があったが、その企業の経営方針の変更により、当初想定企業への依頼ができなくなった。そこで、特殊な技術を要する流路一括切替式はとりやめ、流路電磁弁切替式の装置を製作することとした。装置製作について根本的なやり直しが生じたために、本科研費研究で用いる擬似移動層型クロマト反応器の完成は2019年度中を予定していたが、2020年度までずれ込むこととなった。 また、触媒反応実験ではモデル反応物であるモノラウリンのエステル交換反応実験を検討したが、所望の結果を得ることができなかった。このため、最終年度はモノグリセリドとしてモノアセチンのような低分子モノグリセリドを用いることを主として検討を進める。
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今後の研究の推進方策 |
当初のグリセリンとアセトンのアセタール化反応プロセスについては、予定通りに2018年度に終了することができたが、2019年度のグリセリド類のエステル交換過程と装置の製作で。そこで最終年度である2020年度は、1)モデルグリセリドとしてモノアセチンを用いる、2)反応原料として、モノアセチン、グリセリン、エタノールを用いる、こととする。フレキシブルな装置構成を実現できる新規の擬似移動層型クロマト反応器が完成するまでは、これらの反応実験は既存の10本カラム型の擬似移動層型クロマト反応器を用いることとする。合わせて、移動論数学モデルによる解析も同時に行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
差額が生じたのは擬似移動層型クロマト反応器のソレノイドバルブのオンオフ作動に関わるスイッチボックスの設計に時間を要したためである。当初はスイッチボックスを20万円程度で想定していたが、設計段階で詳細を詰めるに進めて当初予算よりも高くなったためである。このため2020年度に本スイッチボックスを購入することとした。また、2020年3月に化学工学会第85年会で科研費研究の成果を発表予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で出張がキャンセルとなったことも差額が生じた原因の一つである。
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