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2021 年度 実績報告書

マイクロ流体ロボティクスで可視化して解明する微生物のin-situ増殖動態

研究課題

研究課題/領域番号 18K04843
研究機関筑波大学

研究代表者

八幡 穣  筑波大学, 生命環境系, 准教授 (10586457)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード海洋細菌 / 微生物 / 走化性 / 炭素循環 / 乱流
研究実績の概要

細菌はおよそ1ミリメートルの千分の1程度の大きさの微生物であるが、多くの細菌種は1秒間にその体長の30倍から100倍もの距離を泳ぐことができる。こうした活発な遊泳行動は、海や湖、あるいは工業プラントなどの水圏環境において、餌となる有機物を得るのに役立っていると考えられている。一方で、こうした実際の水圏環境は、水が複雑に渦をまく乱流によって特徴づけれられる。こうした乱流は、餌となる有機物を複雑に移動させる一方で、遊泳する微生物の運動にも影響を与える。乱流は微生物と餌との出会いに様々な影響を与えると予想されてきたが、乱流により複雑に運動する水の中で微生物と餌とが出会う様子を観察することはこれまで技術的に難しく、果たして乱流は遊泳微生物による栄養獲得にプラスの影響を与えているのか、あるいはマイナスの影響を与えているのかについて、実証的な知見が存在しなかった。
本研究では、新たに開発したマイクロ流体ロボティクス技術により、こうした乱流のなかでの微生物と餌との相互作用を直接可視化することに成功し、さまざまな強度(エネルギー投入量)の乱流が微生物による餌の獲得に与える効果について、広範な実証的データを得た。新たに開発したマイクロ流体ロボティクス装置は、餌(溶存態有機物)の塊が乱流によって引き延ばされる現象を再現することができる。さらに、引き延ばされる餌と、遊泳微生物が群がる要するをリアルタイムで可視化することができる。この分析から、適切な強度の乱流は遊泳微生物の餌との会合確率を高める一方で、強すぎる、あるいは弱すぎる強度の乱流はマイナスの影響を与えることが明らかになった。この知見は、海洋など水圏において微生物が媒介する炭素化合物循環に乱流が与える影響を示唆するとともに、工業プラントにおける適切な攪拌についても新たな知見を提供する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] メルボルン工科大学(オーストリア)

    • 国名
      オーストリア
    • 外国機関名
      メルボルン工科大学
  • [国際共同研究] レンヌ第一大学(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      レンヌ第一大学
  • [学会発表] 日本微生物生態学会奨励賞 受賞講演 「様々な時間軸と微生物の行動生態」2021

    • 著者名/発表者名
      八幡 穣
    • 学会等名
      日本微生物生態学会奨励賞
    • 招待講演
  • [学会発表] 微生物の行動生態学 とライブ可視化技術2021

    • 著者名/発表者名
      八幡 穣
    • 学会等名
      新学術領域研究「超地球生命体を解き明かすポストコッホ機能生態学」第1回公開シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 海洋細菌の遊泳持久力の実測とその多様性の解明2021

    • 著者名/発表者名
      原克樹、Zhang Yiyun, 平山智宏、高部響介、八幡穣
    • 学会等名
      日本微生物生態学会第34回大会
  • [備考] 八幡研究室

    • URL

      yawatalab.jp

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公開日: 2022-12-28  

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