近年、持続可能な資源として、微細藻類がもつ脂質・炭化水素生産に期待が集まっている。そこで、微細藻類の大規模な培養技術が試験的に試みられているものの、微細藻類の大量培養を行った場合、約十マイクロメートルの小さな藻類細胞の回収が困難であるだけでなく、微生物のコンタミケーションにより培養に失敗するといった問題がある。そこで申請者は、微細藻類をハイドロゲル内に封入することで、回収やコンタミネーションの問題を解決するだけでなく、藻類オイルの生産性を上げることのできる特殊な環境を構築できることを示した。また本研究では、アルギン酸ゲルに微細藻類クラミドモナスデバリャーナを封入したところ、培養開始後、ゲルが透明な状態からだんだんとクロロフィル由来の緑色に変化することを確認した。またゲル内では、球状の細胞凝集体を形成し、バイオ燃料として使用可能な脂質の蓄積が高まることを見出した。このメカニズムを解明するため、アガロースゲルやアルギン酸ゲルの弾性を変化させ、脂質蓄積の影響を調べたところ、周囲のゲル弾性による脂質蓄積量の違いを見出した。さらに、微細藻類細胞では、形質転換試薬に関する研究がほとんどされていなかったが、抗酸化ポリアミンを用いた形質転換の有効性を発見した。
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