研究課題/領域番号 |
18K04848
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田中 祐圭 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (60533958)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 曲率認識タンパク質 / プロテオーム解析 / バイオマーカー / SiO2粒子 |
研究実績の概要 |
近年、生体膜の曲率を識別し、自己集合することで膜構造を制御できる曲率認識タンパク質の重要性が示されている。一方で、このようなタンパク質は、構造の類似性は高いがアミノ酸配列間の相同性が低いため、機能未知のタンパク質から曲率認識能を情報解析から予測することは困難であると指摘されている。そのため、曲率認識能を直接評価できるタンパク質探索技術の開発が求められていることから、本研究では新たな曲率認識タンパク質を同定するための基盤技術の創出を目的とした研究開発を実施している。今年度は、計画に従い以下の内容について検討を進めた。 1)様々な曲率をもつ生体膜の作製:アンモニア触媒によるTetraethyl orthosilicate(TEOS)の加水分解反応を利用し、反応条件を検討することで、数十ナノメートルから1マイクロメートル程度の範囲で、自在に均一サイズのSiO2粒子を合成できることが示された。またこれらの球形材料を脂質膜で被覆することで、人工的に異なる曲率をもつ生体膜を調製できることが示された。 2)生体膜被覆球形粒子を用いた曲率認識タンパク質の同定技術の創出:1)で調製された異なる曲率をもつ生体膜に対して、曲率認識モデルタンパク質であるAmphiphysinとの比較相互作用解析を行ったところ、既報で示された結果と同様に、本手法においてもAmphiphysinは高い曲率をもつ生体膜に対して、より高い親和性を示すことが確認された。 以上より、曲率認識タンパク質の探索技術が確立されたことから、次年度以降は生体タンパク質サンプルから、未知の曲率認識タンパク質の同定を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画に従い、本研究開発における基本技術を確立することに成功し、次年度に予定している新規曲率認識タンパク質のスクリーニングを次年度予定に先駆けてすでに進めている。
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今後の研究の推進方策 |
計画に従い研究開発を推進するとともに、予定をすでに前倒して実施できていることから、新規曲率認識タンパク質のスクリーニング対象を、当初想定していた、がん細胞に限らず、他の細胞や組織の解析も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品等がキャンペーンなどで当初計画していた費用に比べて安く購入できたため。残額については、次年度の消耗品費として使用する計画。
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