研究課題
生体膜の曲率を識別し、自己集合することで膜構造を制御する曲率認識タンパク質が、がんの転移などに関わる疾病マーカーやドラッグターゲットとして注目されている。細胞は、細胞内外に多様な生体膜小胞を生成するだけでなく、ミトコンドリアのクリステに代表されるように複雑な膜構造を形成する。このような生体膜構造は、がんなどの疾病に深く関与し、曲率認識タンパク質を含む様々な生体分子により制御されている。しかしながら、これまでに曲率認識能タンパク質を選択的に探索する手法は開発されていない。そのため、曲率認識能を直接評価できるタンパク質探索技術の開発が求められていることから、本研究では新たな曲率認識タンパク質を同定するための基盤技術の創出を目的とした研究開発を実施している。今年度は、当初計画において今年度予定していた候補タンパク質のキャラクタリゼーションに加え、最終年度に予定していた内容を前倒し、正常細胞及びがん細胞の比較解析から疾病に関与する曲率認識タンパク質の探索を実施した。本研究により、既知の曲率認識タンパク質や生体膜構造を制御するタンパク質を含む、がん関連曲率認識候補プロテオームプロファイルを取得した。最終年度においては、これらのタンパク質の細胞内局在解析や遺伝子発現制御細胞株を樹立し、それぞれのタンパク質の機能解析を進める。さらに他のがん細胞との比較解析を実施することで疾病バイオマーカーやドラッグターゲットの探索を進める。
1: 当初の計画以上に進展している
計画に従い、本研究開発における基本技術を確立することに成功するとともに、最終年度に予定している疾病に関与する新規曲率認識タンパク質のスクリーニングを計画に先駆けて本年度中に進め、すでに一定の成果が得られている。
計画に従い研究開発を推進するとともに、予定をすでに前倒して実施できていることから、新規曲率認識タンパク質のスクリーニング対象を当初想定していたがん細胞に限らず他の細胞や組織の解析も進める。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (3件)
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