• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

生体内の抗体の親和性成熟機構を再現する細胞培養システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K04852
研究機関岡山大学

研究代表者

曲 正樹  岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 助教 (50359882)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード胚中心 / 濾胞樹状細胞 / 単球系細胞
研究実績の概要

B細胞が産生する抗体の抗原結合力の向上(抗体の親和性成熟)は効率の良い病原体の排除に有効である.抗体の親和性成熟は,リンパ節内に 一過的に形成される胚中心と呼ばれる微小環境において誘発される.しかし,複雑な細胞間相互作用を必要とするためその詳細な機構は不明である.我々は,抗体の親和性成熟の支持(制御)細胞である濾胞樹状細胞(FDC)の細胞株を世界で初めて樹立し,FDC株を利用した細胞培養系を用いて,FDCによる抗体の親和性成熟機構の制御メカニズムを解析してきた.その過程で,FDCが,胚中心B細胞の分化・増殖を著しく促進する単球系細胞 (FDC-induced monocytic cell (FDMC) と命名)の分化を誘導することを発見した. 本研究では,FDMCによるB細胞活性化機構を明らかにし,抗体の親和性成熟に必須の因子を同定する.
前年度,胚中心B細胞へのアポトーシス誘導因子の一つであるBimを欠損するB細胞を用いることで,FDMCにより刺激されたB細胞のアポトーシスを回避し,抗体遺伝子における体細胞高頻度突然変異の頻度をより正確に評価することが可能した.
本年度は,FDMCの発現するB細胞活性化因子の同定を試みた.まず,FDMCによるB細胞活性化機構を解明するため,トランスウエルを用いてFDMCとB細胞との細胞間接触が起こらない条件でFDMCのB細胞活性化能力を評価したところ,非接触条件下でもB細胞活性化能が見られた.また,逆に,FDMCのタンパク質分泌を阻害した条件では,B細胞活性化能力は見られなかった.これらの結果より,FDMCによるB細胞の活性化にはB細胞との細胞間接触を必要とせず,FDMCの産生する可溶性因子が重要であることが明らかとなった.さらに,FDMCの網羅的な遺伝子発現解析の結果、可溶性因子を含むいくつかのFDMCに特徴的に発現する遺伝子を同定した.実際に,いくつかの分子については,タンパクレベルでの高発現も確認できた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画書に記載した事項についてほぼ計画通りに進行した.今年度の研究により,濾胞樹状細胞依存的に発生する新規単球系細胞(FDMC)の産生するB細胞活性化因子の候補分子を絞り込むことができた.

今後の研究の推進方策

次年度は,FDMCにおいて特徴的に高発現する分子のB細胞に与える作用を解明するため,中和抗体を用いた阻害実験を実施する.さらに,マウス繊維芽細胞にFDMCの高発現分子を遺伝子導入し,リコンビナントタンパク質を発現・精製し,B細胞に与える作用について解析する.また,実際に免疫したマウスのリンパ節の免疫組織染色により,生体内の胚中心における発現を確認する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 濾胞樹状細胞の発現するIL-34がB細胞活性化能力を有する単球系細胞の分化に関与する2019

    • 著者名/発表者名
      曲 正樹、小川紗也香、松岡由希子、高田美帆、金山直樹、波多野直哉、徳光 浩
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 濾胞樹状細胞の活性化に伴い高発現する分子の探索とその機能解析2019

    • 著者名/発表者名
      西岡美玖、西岡美穂、小川紗也香、波多野直哉、金山直樹、徳光 浩、曲 正樹
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi