本研究は、天然には存在しない化合物から人工的に生命をつくり出せる可能性を実験的に示すこと目的として、細胞の生体膜の形態や動的挙動を、細胞と類似の構造をもつ、合成高分子の集合体に発現させることに成功した。生体膜の1形態である、多数の貫通した細孔を持つ核膜の形態や、神経細胞の軸索や樹状突起構造、ヒト赤血球の温度による形態変化、オートファジーに関与するカップ状単離膜の形成過程等を、両親媒性ジブロック共重合体の設計とその自己組織化を通して、共重合体を構成単位とする高分子ジャイアントベシクルでつくり出し、非天然の合成高分子から人工生命を創製できる可能性を実験的に証明した。
|