研究実績の概要 |
ごく最近、研究代表者らにより、高分散規則配列したNiを含有する炭素系電極触媒が、アルキニル基が結合したニッケルポルフィリンの炭素化によって合成された。炭素化は一般的に複雑な熱分解を経るため、炭素化物の構造は乱雑となるが、アルキニル基による炭素骨格形成と、ポルフィリン環中心のNi-N4ブロックの維持によって、構造制御が初めて可能となった。しかし、Ni-N4ブロック分解防止のため炭素化温度を十分上げられず、導電性が低くなり電極触媒として低活性であった。また、現時点で中心金属はNiのみで、CO2還元能だけしかわかっていない。本研究では、アルキニル基が結合した金属フタロシアニンを合成し、その堅牢性と中心金属種の選択自由度を活かして、十分な高温での炭素化による導電性向上、高活性化、さらに、触媒の汎用性向上を目指している。 アルキニル基を置換基として有するフタロシアニン(Pc)の報告例は少ないものの、中心金属がZnで、種々のアルキニル基により置換されたPc (Zinc 2,3,9,10,16,17,23,24-Octaalkynylphthalocyanines, ZnOAPc)が報告されている。平成30年度においては、ヘキシニル基に置換されたOAPcを合成し、精製と同定を実施した。熱重量分析により炭素化過程における重量変化を調べた結果、800 ℃において規則性炭素化物構造体が形成された際に相当する重量が残存していることがわかった。また、塊状の試料は熱処理により自発的に薄膜を形成することが新たに明らかになった。
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