本研究は、2つの電子状態を相互変換できる分子性の混合原子化合物を分子デバイスとして応用するため、外部刺激応答性を付与することを目的とした。外部から混合原子価化合物の近傍に電荷を導入するための合成化学的な探索を行った。特に、フェロセンやトリアリールアミンの二量体に、かさ高いホウ素置換基を共有結合で導入することで、電荷分離や双性イオン化した混合原子価状態を生成することに成功した。基底状態では、ゲストアニオンの負電荷が静電的な引力によって、励起状態では、ホウ素中心アニオンラジカルの生成とともに電子構造が組み換えられることで、二量体中の正電荷の分布が偏ることを明らかにした。
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