研究課題/領域番号 |
18K04891
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
馬場 則男 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 教授 (80164896)
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研究分担者 |
馬場 美鈴 工学院大学, 総合研究所(付置研究所), 研究員 (80435528)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 電子線トモグラフィ / 電子顕微鏡 / 逆問題 / 画像再構成 / 情報欠落問題 |
研究実績の概要 |
本研究では、独自に開発を進めてきた“濃度量子単位を用いる非線形離散濃度階調再構成法”を用いて電子線断層法(CT)の電子顕微鏡による撮影枚数の大幅削減と、削減してもこれまで欠点であった“情報欠落問題”を生じないことを目指している。情報欠落問題、とは、試料傾斜角度が±60°~70°が限界のため要は真横の投影像が得られず、その結果、偽像が大きく断層像を劣化させる問題である。 平成29年度までの研究成果で、約4分の1にまで撮影枚数を削減しても情報欠落問題を生じないことが示せたが、断層像の画質は削減しないときより劣化する問題が残った。また、無機材料や半導体など構造が比較的明瞭で単純なものには対応できても、特に生物材料など複雑な構造の断層像には適応が難しかった。こうした問題を解決するために、新たな手法の導入を図った。しかし、幸いにして、計画で挙げた方法の導入前に、これまで採用してきた手法の見直しによって早くに改善があった。本手法では、投影像データより決まる定数の“濃度量子”と呼ぶ濃度階調の単位を、個別に断層像面で適切に配置して再構成を行うが、この適切な配置・移動に関してガイドとなる基準方位を、最も安定な0°方向に限っていた。これを複数方位に拡張したところ、少ない撮影枚数からでも画質の低下がかなり抑えられた。このような改良によって、複雑な構造の材料にも応用が期待され、その準備のための試作ソフトの作製を早めることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように、当初の計画で挙げた方法の導入前に、これまで採用してきた手法の見直しによって早くに課題の改善が見られ概ね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要で述べたように、研究課題の改善が見られたので、概ね計画通りに進めていく。また、応用面のEDSトモグラフィ(x線組成分析CT)の実験データが予定より早めに得られたのでこの応用研究を予定より早くに進める方向である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実績の概要で述べたように、当初の計画で挙げた新たな手法の導入を行う前にそれまでの手法の手直しによって改善が進んだ。このため、計画に挙げていたその導入予定の手法の開発費(プログラム開発謝金、メディア代、実験機材費用など)が不要となったため。なお、「今後の研究の推進方策」で述べたように、今後EDSトモグラフィの応用研究が早めに進む予定なのでそちらに今回生じた費用は追加して充てたい。
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