ナノ発光材料などの光源から放出される光子の強度相関を計測する手法は、光子が単一光子状態になっていることを示すために活用されてきた。しかし、一般的に使われてきた従来の強度相関法で得られる情報は少なく、計測した単一光子光源の性能が低い場合に、その原因を強度相関のデータだけから特定することは難しかった。本研究では、従来の強度相関法よりも多くの情報の抽出が可能になる測定法(タイムゲート強度相関法)の開発を進めた。
当初計画していた通りに、従来の強度相関法よりも多くの情報の抽出が可能になるタイムゲート強度相関法の開発を進めることができた。寿命の異なる多くの材料に利用できるようにタイムゲート強度相関法の汎用性を向上させることにも成功した。タイムゲート強度相関信号を発光減衰曲線と合わせて分析することで、多くの価値ある情報を抽出できることを示すことができた。また、単一ドットのサイズが比較的大きい場合であれば、光吸収断面積と発光量子収率を決定できることが明らかになった。決定した光吸収断面積や発光量子収率が、妥当であることを示唆するデータも得られた。
最終年度には、前年度までに実施した実験によって得られた知見に基づき、光吸収断面積や発光量子収率といった物理量を、材質・サイズの異なる単一ドットや、特異的な周辺環境下にある単一ドットを対象として絶対計測することができるか調べた。透過型電子顕微鏡用の支持膜付きグリッドの上に塗布した単一ドットに対して強度相関計測を実施するために必要となる、新たな技術の開発に成功した。これらの実験を通して、従来の強度相関法よりも多くの情報の抽出が可能になるタイムゲート強度相関法の開発を進めることができた。
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